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初めての夜
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閉ざされた部屋の中で筑紫の耳に響くのは、濡れたような音と自分の息遣いだけだった。
露朱は今おそらく、自分の下腹部に舌を這わせている。
だが筑紫は固く目を閉じてしまっているため、それを確かめる術はなかった。
視界が遮られていることによって余計に過敏になってしまっていることは自覚していた。
しかし筑紫は今起きていることを直視して受け入れる勇気を持てずにいた。
筑紫はセーデルハムン城で働く優秀な文官だった。
多少人見知りで引っ込み思案なところはあったが、穏やかな性格の筑紫は周囲の人間にも好かれ何不自由ない暮らしをしていた。
ただ一つ、恋愛を除いては。
物心ついた頃には筑紫の恋愛対象は同性だった。
冷たい雰囲気の美人が好きで、片想いは数えきれないくらいしてきたが、すべて陰から見つめるだけで話しかけることすらできずに終わるような恋だった。
もう自分はこのまままともな恋愛もせずに死んでいくのだろうと、諦めの気持ちでいた。
だが30歳を目前にして、せめて一度だけ、一夜だけでもと思い花街を訪れたのだった。
露朱のことははっきり言って一目惚れだった。
声を聞いた時には、絶対この人にお願いしようと心に決めていた。
筑紫の尻の穴には、すでに二本の指が入っていた。
大量の潤滑油と露朱の技巧のお陰で痛みは全くなく、筑紫は今にも漏れそうになる声を必死に抑えていた。
ふと、口を押さえていた手に体温を感じて、筑紫はゆっくりと目を開けた。
そこには筑紫を見つめる露朱の顔があった。
露朱は筑紫の手を掴んで優しく口元から引き離すと、現れた彼の唇に触れるだけのキスをした。
「声、我慢しなくていいんだよ?」
「あっ」
言いながら指を増やされて思わず声が漏れる。
「かわいい声」
「……っ」
「ほら、我慢しないで。ぼく筑紫の声聞きたい」
耳元でそんなことを言われては、我慢などできるはずがなかった。
「あっ……ああ……あ……!」
三本の指で良いところを擦られる度に勝手に声が漏れ出る。
自分も知らない奥深くを他人に暴かれる感覚がたまらなかった。
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