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目覚め
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自室の寝具の上で露朱は目を覚ました。
起きたばかりなのにひどく眠い。
辺りの様子を伺おうと少し体を動かそうとしただけで、全身に痛みが走る。
顔が熱く、熱もあるようだ。
こうやって寝込むのも久しぶりだなとぼんやり考えていると、部屋に誰か入ってきた。
「お、目が覚めたか」
津義に声をかけられる。部屋に入ってきたのはどうやら彼だったらしい。
「具合は……良くなさそうだな。飲めるか?」
津義が病人用の水差しを差し出してくれて、露朱は初めて喉が乾いていることに気づいた。
小さくうなずいて、少しだけ体を起こしてもらう。水を飲むと口の中が痛んだ。
「津義……帰省は……?」
喉を潤したばかりなのに全く声が出なかった。
「お前、三日間眠ってたんだよ」
そう言いながら露朱の額を拭う。湿った布の感触が気持ちよかった。
津義が実家へ帰ったあの日、客の相手をしていた途中から記憶がない。あの客はどうなったのだろうか。
「あいつは今度こそ完全に出入り禁止だよ」
まるで露朱の心を読んだかのように津義が答えをくれた。
「俺との約束、すっかり破ってくれたみたいだな?」
至近距離で津義に睨まれる。
「……ごめん」
「……なーんて、話は聞いたよ。あいつがやばい客だって気づいてたんだろ?」
津義はあれからどうなったのかを一部始終教えてくれた。
初めに男と一緒にいた男娼は、露朱に言われた通り部屋に一人戻ったらしい。
だがしばらくして、この男娼の下子が、客がいないことに気付いた。
男娼から話を聞いた下子が緒香へ報告してくれて、露朱は助け出されたのだそうだ。
露朱が気を失った後も男は暴行の手を緩めなかった。
助けが入った時、露朱は男に首を絞められていたらしい。
話を聞いて、そういえば覚えのない箇所に痛みがあるなと、露朱は思った。
「あんまり無茶しないでくれよ。自分を犠牲にしたって、誰も喜ばないんだぞ。また同じことがあったら、一人でどうこうしようとせずに誰かに相談すること。いいな」
津義に諭すように言われる。それに露朱は素直にうなずいて答えた。
津義が思い詰めたものを吐き出すように、はあっと息を吐く。
「……無事でよかった」
そう言って露朱の頭におかれた津義の手は、少しだけ震えていた。
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