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一人のための物語と天使 ※陸side4
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お昼寝したら少し体が軽くなった俺です。
歳かな?違うよね…
今は、翠ちゃんが淹れてくれたコーヒーを満喫中。
僕が起きると何だかんだ言いながらコーヒーを淹れてくれる翠ちゃんは本当に天使。
「翠ちゃん、その栞、使ってくれてありがとう。」
「えっ、あっ、…はい。」
「…照れてる?」
「ち、違います。それよりも貸し出しするのは机の上の一冊で良いですか?」
「あと、もう一冊。」
「この本…」
俺がさっき手に取った一冊の本。
フランスの古い物語をまとめた短編集。
フランスに居る間、翠ちゃんに唯一送る事が出来た物語は全てこの本のもの。
本のタイトルは言わなかったのに、翠ちゃんはこの本だって気付いてくれていたみたい…
「…その本、僕以外は誰も借りたこと無いんですよ。」
「本当に?」
「本当に。」
「そっか。…じゃあ、一人のための物語なんだね。」
「はい。でも、今は二人のための物語です。」
貸し出し処理をした本を手渡してくれる翠ちゃんは少しだけ赤い顔をしていて…
図書館にある本はみんなのための物語なのに、二人のための物語が今だけでもある。
それが、こんなに嬉しくて愛おしいなんて…
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