アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
target3-21.エロ強い
-
間近で見る二人の近い距離と体制に一部(というか腐男子の双子)から歓声が上がる。
「ふざけ、んな!俺はお前の玩具じゃねぇ!」
颯都は素早く璃空を突き飛ばして、普通の者は怯んでしまうであろう鋭い目付きで睨み付ける。
「俺は真剣だぞ。今すぐにでも、お前が欲しい」
「断る!別の奴でも探せばいいだろ」
「生憎お前専用枠だからな。最も、嫌がっても無理矢理モノにするが」
「誰がお前なんかの物になるか」
「そうか、なら」
ジリジリ迫られ後退していた颯都だが、遂に壁に背中が付き目の前の顔を威嚇するように真っすぐ睨む。
「くっ…」
内心の焦りからか、不意打ちで上に腕を纏め上げられ、抵抗しても力の関係上抜け出せない。
そのまま背中に手を回される。
「此処で頂くとしよう」
「何を……!?」
言葉を発そうとする前に颯都は目を見開いた。
璃空の顔が近づき、唇を塞がれる。
「…んン…っ!」
驚愕に固まっているのをいい事に、舌を入れようとしてきて颯都は唇を噛んで開かないように抵抗するが、背筋を指先でなぞられぞくりとした感覚に唇を開いてしまう。
すかさず舌が侵入し、巻き込まれないように逃げるが巧みに舌を絡め取られ口内を蹂躙される。
「ふ、……は…っ!」
深く探るような激しい口付けに混ざり合った互いの唾液が、颯都の口端を伝う。
自分の嫌いな男にキスをされているという嫌悪感と羞恥心で眉をしかめるも、気持ちとは裏腹に熱は徐々に高ぶっていく。
腕を外そうとどんなに足掻いても、強く固定されている為に抜け出せない。
「は、……ん…ぁっ」
逃げようと身を捩ると指た先でつつ…と上になぞられ、首元と髪を擽られる。
酸欠で頭がくらくらしてきた。
「はっ……や、め…」
颯都がいい加減にしろ、という意味を込めて睨むと、やっと唇が離れた。
透明な糸が繋がり、ぷつりと切れる。
「はぁ…、てめ……何しやがるッ!」
酸欠の頭は治っていなかったが怒りを込めて目の前のムカつく笑みを睨んだ。
しかし、荒い息で頬を赤く染めて睨むんでも艶っぽさが増すだけであるという事に、颯都は気付いていない。
「くくっ…そんな顔で睨まれても誘っているようにしか見えないな」
張本人は悪びれもなく、愉しそうに顔を近付けてくる。
「近寄んな!つか、こんな所…で……」
言いながら、徐々に覚醒しつつある意識がある事を思い出させる。
此処は生徒会室。
そして今日は、運悪く全員が揃っている事を。
最悪だ、と思いながら周囲に目を向けると双子はキラキラした目を、それ以外は欲情したような表情でこちらを見ていた。
その一人の副会長、京弥と目が合うと顔が赤くなり一瞬目を見開き、すぐに目を逸らされた。
「おい……手ぇ離せ」
下を向きながら発せられた颯都の低い唸るような声に、璃空はやっと腕を塞いでいた手を離す。
「生徒会長が生徒会室の、風紀乱してんじゃねぇ―――ッ!!」
「ぐはッ……!!」
颯都は脚を引いてから、思いきり璃空の股間に蹴りを入れた。
それが見事に入り、璃空はあえなく床に膝を付いた。
「突っ込み所はそこなんですね」
冷静に眼鏡を端を手で押し上げる京弥。
「勝負ありーって感じ~?」
他人事に笑いながら楽しんでいる昶。
「すげー!颯都兄、エロ強えぇえーっ!!」
「エロ強~いっ!!最強~~っ!」
興奮して目を輝かせる双子。
隣の昶から「エロ強いってなんだよ」と呆れ気味の声が掛かる。
そんな面々を放って、颯都はドアまで颯爽と歩いていく。
そしてドアの前で振り返り、璃空に言い放った。
「次、俺にあんな事したら……足腰立てなくしてやるから、覚悟しとけ」
バタン、と扉が閉まり、生徒会室に沈黙が訪れる。
「……次の話は、颯都兄が会長にヤリ返す話にしよっか!」
「そうだね、翔!」
こんな時もそっちに思考が行くのはある意味凄いですね、と顎に手をやった京弥が呟いた。
「く、くくくっ………くははははっ!!」
倒れたままの璃空から笑い声が上がり、一同は肩を震わす。
「か、会長!?」
「ついに壊れた!?」
翔は心配しているが、慧は少し楽しそうだ。
暫く笑うと、璃空は口元に笑みを湛えたまま言った。
「五十嵐颯都……。益々、面白い奴だ」
床に座ったままの不敵に笑う璃空の隣に、昶がしゃがみ込む。
「会長~。俺も興味が湧いちゃったっていうか、遊んでいい~?」
「馬鹿か。遊びは他でやれ。
俺は真剣に颯都を落とす」
見るに見かねた京弥の鉄拳が容赦なく二人に降りかかった。
「馬鹿は貴方達二人ですよ。録に仕事もせずに現を抜かさないで下さい。
それとも、仕事を倍にして欲しいなら話は別ですけど」
淡々と語る京弥には、表情がない。
いつの間にかデスクに座った双子がそれに賛同し、「そうだそうだー!」「仕事仕事ー!」と遠巻きに言ってくる。
京弥のそれが、今までの経験から完全に怒っている時のそれだと分かっている璃空は、素早く上体を起こした。
「生徒会長として、職務をこなすのは当然の事だからな」
璃空は何事もなかったかのような澄まし顔で、奥の自分の席に着いた。
それをジト目で見ている京弥の後ろで、昶はコソコソと出て行こうとする。
「どこに行くんですか?」
「えっ!?ちょっくらトイレに行こうかな~と」
「貴方の机の上にある溜まりに溜まった書類を片付けない限り、外出禁止です」
それを聞くと、昶が猫なで声で京弥に縋る。
「…頼むよ~。な、ちょっとだけ!せっかく会う約束してるコがいるんだからさぁ~」
ゆさゆさと肩を揺さぶられていた京弥は、無言で書類の束を持ち昶の机に歩いていくと、ドサドサッと上に落とした。
「これ全部、今日中にお願いしますね」
(あぁあ゙~~!!京弥の鬼~!人でなし~っ!!)
(相変わらず馬鹿だな。お前に学習機能はないのか)
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
35 / 108