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target4-2.狙い撃ち
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その行為に寒気しか感じない颯都は、昶の鳩尾を殴ろうと拳を振ったが、擦れ擦れの所で避けられる。
「おっ、と!危ないなぁ~。
言ったじゃん。オレ、喧嘩は嫌いだって」
「其れなら俺はお前が嫌いだ」
「あははっ、ひどいなぁ~。
そんな事言われたの初めてかも。ますます、興味湧いちゃった」
「近寄ん、な!」
暴言を吐いても、少しもダメージを受けずに近寄ってくる昶。
颯都は足蹴を繰り出すが、これもまた擦れ擦れで避けられる。
「これがオレの特殊能力。なんでも先読み出来ちゃうんだよね~。予知能力っつーの?
あんなの当たったら痛そうだし、便利便利!」
笑顔のまま楽しげに話す昶。
颯都は何となく、疑問に思った事を口に出す。
「心も読めるのか?」
「ん~、大体はね!…一部、読めないのがいるんだけど」
「一部…?」
眉を顰めると、昶の顔から笑顔が消えた。
放課後の夕焼けが窓から差し込み、教室を赤とオレンジに彩る。
それを背景に、朱色の眼が真っすぐ颯都を見つめる。
「純血の、吸血鬼」
「…へぇ」
少し胸が跳ねたが、表情には出さなかった。
昶はまた笑顔に戻って喋り出す。
「会長のを読めないのは当然なんだけどさ~、この学園にもう一人いるんだよね~…」
好奇心で聞くんじゃなかった、と颯都は思ったがもう遅い。
追究の眼が、颯都の表情一つ一つを見逃すまいと見つめている。
「あんた…何者?」
怪しまれないように真っすぐ見つめ返す颯都は、冷静だった。
「…答える義理は無い」
沈黙のまま視線をぶつけ合う。
こういう勝負は、眼を最初に逸らした方が負けだと相場が決まっている。
だから、決して逸らさずに見つめ返した。
暫くして、昶が身体の向きを変えて窓の方を向いた。
「…まぁいいや!それよりさ~、オレとイイこと、する気になった?」
「生涯成らねぇよ」
ヘラッとした笑顔の昶に冷たく返すと、颯都は教室から出ようと背を向ける。
その一瞬の隙を突いて、昶は颯都を床に押し倒した。
「ッ!」
反射的に拳を突き出すが、腕を掴まれ両手を床に縫い付けられた。
「それにさ~…すっげぇ、イイ匂いするんだよね…なんでかな~…」
「止、めろ…ッ!」
首筋の匂いを嗅ぎ、うっとりとした声を出す昶に颯都は思いきり睨みを効かせる。
「そうそ…、そういう表情がソソるんだよね…ほんと、堪んない」
颯都が抜け出せないように身体を負荷を掛けたまま、首筋を一舐めして牙を突き立てた。
「――ッあ!…くっ、そ…止め…!」
抵抗しようと力を振り絞るが、何故か能力も使えない。
それどころか、能力を引き出せば引き出そうとする程、力が抜けていった。
すぐ傍で、血を飲まれる音がする。
「ん…っは…、ぁ…!」
不快なはずなのに、口から漏れるのは正反対のそれで。
自分が自分ではなくなるようなこの瞬間が、この身体に流れる血が憎らしくなる。
しかしその感覚に飲まれたら、憎しみを思い出して眼が赤くなってしまう。
颯都は、血を飲まれる感覚を必死で気分を冷静に保ってやり過ごした。
存分に甘美な血を堪能した昶は牙を引き抜く。
「ん…ッ!」
「…すげ……血もあり得ないくらい美味いし…
血を飲まれたくらいで、そんなエロくなっちゃうんだ?」
息が上がり、頬を火照らせて快感を残した表情。
普段乱す事のない服装も昶の手によってボタンを外され、肌が露わになっている。
「はぁ…はっ…、誰が…ッ!」
息を整えながら鋭い眼で睨んだが、昶は少し驚いた表情で笑う。
「自覚ないワケ?…罪だね~、委員長」
「ッ触ん、な……、っ!」
撫で回す手から逃れようと身体をずらすと、下半身の固いソレに当たってしまう。
「あは、バレちゃった?
てか、最初からそのつもりだった所に、あんなエロい声聞かされたら誰でもこうなるでしょ。…ほら、委員長も」
昶は腰を揺らめかせ、疑似セックスのような形を取る。
颯都の中の何かが、プツンと音を立てて切れた。
「ストップ。…眼ぇ閉じて」
颯都の言葉に昶の目の色が変わり、上から身体を退ける。
「えっ、なに?キスしてくれんの?」
期待に声を弾ませ、昶は素直に目を瞑った。
行動は読めても、心までは読めない。
恐らく行動予知は視覚で行っているから…目を塞いでしまえば、こちらの行動は予知出来ない。
例え目を塞いでいても物理的な攻撃が避けられるなら…。
――身体に触れずに、変則的な攻撃をすれば良い。
颯都は頭の中でイメージを固める。
室内に落雷が発生。
人体に影響を与えないが、気絶する程度の…――
サンダー ・ ボルト
「(――…Thunder bolt)」
指先に溜めていた紫色のプラズマを、銃弾ような仕草で昶に放った。
高電圧の塊が触れた時、キスを待ちわびている昶の身体中を放電し、声を上げる間もなく床に伏せた。
「(…手加減したから大丈夫だろ)」
颯都は昶を一瞥し、最悪になった気分で教室を後にした。
(此処に来てから、録な事ねぇ)
(何でこうも血を吸われるんだよ…!)
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