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target4-15.発散
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[瀬川side...]
敵チームになればいい競い相手になるし、同じチームになれば息の合ったコンビネーションプレイができる。
五十嵐は「買い被り過ぎだ」と言うが、贔屓目に見てるんじゃない。
純粋にあいつはすごいと思ってる。
まず、チームワークのカバーが上手い。
ミスや取りこぼしを自然にフォローしているから、それが安心感を呼び、チームワークに繋がっている。
位置も、パスを回しやすい的確な場所にいる。
「五十嵐!」
パスを回すと、ボールを受け取った五十嵐が素早いオフェンスで、ボールを奪おうとする手を次々と躱しながらゴールへドリブルしていく。
俺は様になる姿に感心しながら口笛を吹いた。
五十嵐目当てで試合を見ている生徒たちの黄色い声援がより高くなる。
それらに我聞せず、鮮やかに今日何度目かのシュートを決めた。
タイマーが鳴り響き、終了を告げる。
得点は17-3。圧勝だ!
五十嵐と目が合って頭の上でハイタッチした。
部活を終えて、バスケ部の更衣室のドアを開けると、五十嵐がジャージを脱いで着替えていた。
「お疲れ、瀬川」
「おう。お疲れー」
ドキッとして立ち止まっている所に五十嵐から声が投げかけられ、笑顔で取り繕った。
すっげーいい匂いするし。
五十嵐の近くに行くと匂いを強く感じながら、スポーツバックを下ろす。
「今日も大活躍だったなぁ~、五十嵐!」
「お前程じゃねぇよ」
「俺らがコンビ組めば右に出るもんなしだぜ!だろっ?」
同意を求めて振り向くと、五十嵐が汗で濡れたTシャツを脱ぎ、露出した肌を惜しげもなく晒していた。
…ラッキー。
男なんだけどな。
雰囲気艶っぽいっつーか、惹きつけられるっつーか。
ぼーっと見惚れてるうちに、制服のシャツに着替えていた。おしい。
開いたロッカーを閉め、そのまま五十嵐を腕の隙間に閉じ込める。
「…瀬川?」
怪訝に見てくる五十嵐の眼を軽くいなして、距離を縮める。
ここだけの話、部員でも五十嵐狙ってるやつは相当いる。
幸い部室には誰もいない。
抜け駆けになるが許せ。つーか、ここまで来て言わずにいられるか。
「五十嵐ってさ、付き合ってるやついる?」
「…居ねぇけど。顔近ぇ…」
「俺と付き合わねー?」
「は…?」
「前からお前のこと気になってたし」
五十嵐は腕を振り解くと、ロッカーから自分の鞄を取り出して背を向けて歩き出した。
「悪いが、他を当たってくれ。俺はそういう趣味ねぇから」
ヒラヒラと手を振って、ドアの向こうに姿を消した。
カチャ、とドアが閉まり、残された俺は一人ごちる。
「あー…。あれは手ごわそうだわ」
―――――――…
―――
―――――……
[琉生side...]
あのハゲ。また雑務押し付けやがって。
それでいて自分は悠々とコーヒー飲んでんだもんなぁ。
今度、未練がましく残した頭を後ろからバリカンで剃ってやろうか。
その図を脳内でイメージしてほくそ笑んでいると、見知った匂いが通り過ぎる。
「お、五十嵐~。悪いけど、手伝ってくんね?」
振り返ったその表情で、何かあった事は見て取れた。
(又、俺かよ…)
(仕方ないだろ~?お前が丁度通りかかるんだからさぁ)
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