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target4-25.対立
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「別に…お前には関係ねぇだろ」
「…俺が口を挟んじゃいけないの?」
「あぁ」
颯都の口調はいつもより素っ気なさを感じさせた。
首元から覗く噛み痕と、素っ気ない態度。
雪斗の心の中で膨らんでいたモヤモヤが、次第に大きさを増す。
「たまに帰って来ない時も。会長に襲われてたんだよね?」
「…其れは、泊まり込みで遣らなきゃ為らねぇ仕事が…」
「嘘」
颯都は、泊まりでやる程仕事を溜めたりしない。
寧ろストレスを感じている時は仕事に没頭して、発散しているように思う。
何も相談せず、ただひた隠しにする。
なぜ、そうまでして。
「何で会長を庇うの?」
「別に庇ってねぇよ」
「……もしかして…会長のこと、好きなの?」
「あんな奴、嫌いに決まってんだろ」
「じゃあ何で。身体を許したりしたの…?」
服の上からでも分かる、引き締まった身体の線をなぞる。
鼓動がいつもより早く脈打ち、辺りまで響いている気がした。
俺の知らない所で、
どんな表情で。
どんな声で。
想像し出したらますます膨れ上がる、嫉妬と…未知の領域への興味。
「…雪」
咎めるように、名前を呼ぶ。
近すぎず遠すぎず、この何でもない関係を続けられるボーダーライン。
そこを踏み越えてはいけない、と。
けどもう…無理だよ。
俺は、何でもない関係じゃ満足出来ない。
だって、その血の味を知った時から――
「俺はとっくに、獣だから」
純粋だった空色の目が、貪欲に煌めいた。
ぷつり、と何かが切れる音がする。
見ると、自分の肌に牙が刺さっていた。
じわり、と滲んだ快感が身体中を巡る前に雪斗の肩を突き飛ばそうとするが、一歩早く深々と牙を押し込まれる。
「んっ…あ!」
咄嗟に出た声で羞恥に駆られ、唇を噛み締める。
啜りながら、雪斗の手が颯都の下半身に触れた時。
何をしたいのかが瞬時に理解出来て、カッと頭に血が上り、肩を突き飛ばした。
雪斗が向かい合った側の壁にぶつかる。
覗いた牙には、赤い血が付いていた。
まだ荒い息のまま、颯都は壁に手を付き呼吸を繰り返す。
「…お前、風紀委員なのにこんな事するのか」
「今は関係ないよ。仕事時間じゃない」
「だからって…どうかしてる」
お前も、彼奴らも。
颯都の心の声を見越してか、今までとは違う笑い方で雪斗は笑う。
「…確かに…そうかもね。颯都が色気だだ漏れになっていくのに、同室で一番近くにいるのに、俺だけが触れられない。
本当、どうにかなりそうだったよ」
「……雪…?」
颯都は、本当に目の前の人物が雪斗なのかと問いたくなった。
見知った筈の人物が、今日はひどく見慣れない顔ばかりを覗かせるから。
壁に寄り掛かり、俯く雪斗が呟く。
「颯都が望むなら、この関係のままでもいいかなって思った。
けど、他の人に違う顔見せてるなら……」
俺にも見せてよ。
俺の知らない…颯都の姿。
「…意味解んねぇ」
沈黙が続き、眉を顰めた颯都が呟く。
「何をする気なのかは知らねぇが。お前がもし、彼奴らと同じく風紀を乱すような真似をするなら…俺は容赦せず、お前を殴る」
真っすぐ視線がぶつかり合う。
少しの沈黙の後、雪斗は口を開いた。
「…いいよ」
(俺ももう、我慢するつもりはないから)
(颯都とぶつかって、向き合ってく)
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