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target5-17.ストレス
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颯都がバスケ部や剣道部に行くのは、体力が低下しない為の訓練と、スポーツによるストレス発散が目的であった。
しかし、発散出来たはずが先程の行為がまた新たなストレスを生んでいた。
「(瀬川まで学園に毒されてたなんて…最悪だ) 」
眉を顰め口元を手の甲で覆い隠す。
その何処か艶を残した表情で歩く姿にある者は振り返り、ある者は足を止める。
当人は手前の床を見、考え事をしながら歩いている為か気付かない。
「おォい、委員長さんよォ…」
前に不良グループの一人が立ち塞がる。
下劣な事を言い出すか、喧嘩を吹っ掛けて来るか。
どちらにせよ、録な用件じゃない。
経験則で分かっていた颯都は、不良のにやけた顔を張り倒すと止まらずにその場を立ち去った。
こんなのは日常茶飯事だ。一々構ってられない。
足早に自室に戻り、不快な感覚を洗い流す為に風呂場へと向かった。
後始末をしていると、背後から耳元で囁かれた声の余韻を思い出しそうになるが、何とか打ち消して後始末を終えた。
身体を洗う手を進めながらも、颯都の苛立ちは続く。
手足を塞がれていたとはいえ、事前に避けられなかった自身への苛立ち。
それに。
「(大体、何で俺なんだよ…、もっとマシな選択肢が在るだろ)」
思春期だか知らないが、余計な出来事に巻き込まないで欲しい。
そもそも俺は同性愛者じゃない。
気持ち悪い餌にされるのは御免だ。
「(…中々思い通りには行かねぇな)」
シャワーを浴びながら、思う。
夏には風紀を正し、清潔な環境にし終えている計算だった。
しかし現状では、幾ら正しても次々と問題が見つかり、鼬ごっこが続いている。
…どうにも、妨害を受けている気がする。
間違いなく彼奴らが原因だろう。
何度回避してもしつこく迫ってくる。厄介な連中だ。
多少苛立ちを残し、濡れた髪をタオルで拭きながら風呂場を出る。
すると、ほぼ同じタイミングで玄関から雪斗が帰ってきた。
「あ」
颯都の風呂上がりのラフな格好を見て固まる。
…やっぱり、色気がただ漏れだ。と雪斗は思った。
「稽古帰りか?」
「うん。颯都は部活帰り?」
「あぁ」
何気ない会話をするものの、まだ気まずさは拭えないままリビングへ移動する。
雪斗はスポーツバッグを机に置き、ソファに座って考え事をしている颯都を見る。
「…何かあった?」
驚いて顔を上げるが、颯都はすぐに目を逸らす。
「別に」
「何かあったでしょ、そういう顔してる」
「………」
変わらずじっと見詰めてくる目とは視線を合わせず、颯都は苦々しく呟く。
「…此の学園は、ホモしか居ねぇのかよ」
「……もしかして、何かされた?」
小さな独り言だったが聞き逃さず、その可能性を危惧して尋ねる。
「…何も」
そう答える時は、決まって何かあった時じゃないか。
…通りで、艶っぽい雰囲気のわけだ。
妙に納得しつつ、気になった事を質問する。
「誰にされたの?」
「……瀬川」
追及からは逃れられそうにないと、颯都は答える。
「瀬川って…バスケ部エース候補の?」
「…あぁ」
思い出しそうになり顔を顰める颯都に近付き、ソファの縁に腰掛ける。
「どういう状況で?」
「どうって…、俺が着替えてたら、行き成り彼奴…」
思い出してしまい、思わず溜め息が出る。
「血を吸われたの?」
「…いや」
そういえば、瀬川は血を吸わなかった。
「…そっか」
どういう理由か颯都には分からなかったものの、雪斗には容易に分かった。
それだけ本気という事だろう。
(…手強いな)
(何がだよ)
(いや、こっちの話)
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