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target5-22.朱炎
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颯都の周りでは、夏の熱気に煽られるような忙しない日々が続いていた。
いつも誰かに狙われ、なかなか事が上手に進んで行かない。
それ所か、颯都が目指す平凡で衛生的な生活への道からは少し…いや、かなり脱線していた。
打開策が見出だせず苛立ってはいたが、冷静に考えれば何故あんな賭けに乗ってしまったのか分からない。
ただ、何かのリミッターが外れたのだろう。
気付けばリスクを考えずに賭けに出ていた。
見回り当番の颯都は蒸し暑い気温に少し眉を寄せて、勉学棟の廊下を歩いていた。
その前方で、見知った人物が柱に寄り掛かっているのに気付いた。
何事もなかったように通り過ぎようとする颯都の腕を昶が掴む。
「待ってよ。目が合ったのにシカトはないんじゃないー?」
「お前と話す事は何も無い」
「あは、冷たいなぁー。
会長や副委員長、バスケ部の瀬川とも仲良くやってんのに。オレには仲良くしてくれないの?」
一瞬颯都が反応を見せたのを見逃さず、目を細めた昶は距離を詰める。
「どうなの…?複数に狙われる気分って」
囁かれる言葉で、頭から冷水を浴びたような感覚に陥る。
颯都は無言で昶の腕を掴んで、近くの用具室に連れ込んだ。
対して引っ張られる側の昶はその先の展開を見越し、笑みを浮かべているのだった。
ドアを閉め、昶の胸ぐらを掴んで壁に押し付ける。
「どういう事だ。全員お前の差し金か?」
「やだなぁ。オレは何もしてないよ」
「なら…」
颯都が何の答えを求めているのか、昶には明白だった。
…襲われる原因が何なのかと。
それが分かっていた昶は笑顔で答えた。
「委員長がやらしーからじゃない?」
「俺はそんなんじゃ…」
顔を歪めた颯都の手首を掴み、今度は昶が壁に押し付ける。
…次は蹴ろうとする。行動を読んだ昶は攻撃が来る前に避けた。
「…オレが何もせずにおあずけ食らうと思った?
確かにオレは、無意識の行動は避けられない。だけど、あらかじめデータさえ取っておけば、避けられないモノなんてない。
だからオレは、委員長の攻撃パターンを取るのを最優先にした。
失敗したように見せたのも、全部見せかけ」
颯都はその笑みを見ながら引き吊った口角を上げた。
「…へぇ。生徒会会計も伊達じゃねぇか」
「そう。だからさぁ…」
気付かれないように、颯都が会話中に部屋の奥で蓄電させていた紫色のプラズマを見る。
後少し、時間を稼げば…そう思っていた颯都の首筋に牙が突き刺さった。
「……く…っ!?」
突如襲ってきた快感に、奥のプラズマが小さくなった。
駄目だ、意識を集中させねぇと…!
そう思えば、牙が深くまで突き刺さる。
「うぁ…ッ止、め…!」
思わず片目を瞑って堪えるが、一瞬視界に捉えた先のプラズマは不安定に揺れていた。
何とか手首の拘束を解こうとするが、血を啜られている所為で力が入らず、逆に上で一つに纏め上げられてしまう。
更に陰茎に手で刺激を加えられ、快感が強まっていく。
「ん…、く…っ」
必死にやり過ごそうとしても、血を啜られる感覚が颯都の中の冷静さを無くさせる。
昶が満足いく吸血を終えた頃には、プラズマも姿を消してしまっていた。
息を乱す颯都を暗闇で朱色の眼が見詰めている。
「ムダだよ。どの道もう、逃がしてあげないから」
(さぁ、快感に歪んだ顔を見せて)
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