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target6-1.文化祭開幕
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――文化祭当日。
開会式、飾りを付けられたホールは今は照明を落とされ、スクリーンで開会に因んでのビデオ上映が行われた。
その後の璃空の演説でホールは既に大きな盛り上がりを見せていた。
次は風紀委員長である颯都の番、なのだが…
雪斗は心配になって隣を見る。
俯いたまま、颯都は殺気立った雰囲気を帯び今日一言も発していない。
「…颯都、」
「続いては、風紀委員長から一言!」
声を掛けようとした雪斗に司会者の声が被る。
颯都は立ち上がり、雪斗はそれをハラハラした気持ちで見送っていた。
「(なんだろう…胸騒ぎが…。気のせいかな…)」
ピンスポットと、赤系統の照明で彩られている壇上に颯都が上がり、そこかしこから歓声や色めき立った声が上がる。
「委員長ー!抱いてぇーー!!」
「寧ろ、抱かせろーー!!」
文化祭だからだろうか、異様な熱気を見せるホール。
俯いていた颯都が突如マイクを掴み、顔を上げた。
「…てめぇら、此の期に及んで面倒でも起こしてみろ…即刻退学にしてやる」
颯都の声は低く、ホールに響き渡る。
赤い照明が当たっている所為か、颯都の眼が赤く見えた。
「(…ヤバい、アレは完全に…キレちゃってるな…)」
普段の敬語ではない様子…何よりあの鋭い眼に、まだ雰囲気に飲まれていない雪斗はそっと苦笑した。
それだけで済めば、万事良かったのだが。
様々なストレスを受け、最早苛立ちを抑えられなくなった颯都は低く言葉を続ける。
「それと…、俺に用が有るなら纏めて掛かって来な。相手してやる」
ニヤリ、と挑発的に口角を上げた。
赤い照明が照らすその顔はゾクッ…と鳥肌が立つ程どこか恐ろしく、美しく…妖艶だった。
颯都は周りのそんな空気を取り残して壇上を去る。
そして、席に戻った頃―――興奮した歓声が一気に膨れ上がった。
「は…?何だ…?」
雪斗も思わず唖然としていたが、ハッとなって颯都に掴み掛かる。
「颯都!何今の!?滅茶苦茶エロい…じゃなくて、あんな挑発されたらもっと…!」
「面倒臭ぇんだよ、ちまちまと。纏めて掛かって来たら直ぐで済むだろ」
さっきと打って変わってスッキリした顔の颯都が言っているのは、攻撃を仕掛けてくる輩の事。
しかしあんな…背筋から電流が掛け上がってくるような挑発をされたら…違う意味で危険な輩が増えるのに。
掴み掛かっていた雪斗は脱力して、椅子に座り込んだ。
「にしても…五月蝿ぇな」
やはり、自分のした事に気付いていない颯都に雪斗は嘆息し、月杜学園の文化祭は騒がしく幕を開けた。
その後は照明が付き、それぞれの委員会や部活やクラスの模擬店などの案内があり、前半はステージでのコントなどで大いに笑いが湧いた。
午後からは、模擬店などの出し物の準備に入り、バンド演奏や演劇などのステージ行事もある。
散り散りになり始めた周りを見て、颯都は立ち上がる。
「雪斗、俺達も…」
その前に、誰かが立ち塞がった。
「颯都、何だアレは。…誘っているのか?」
「めっちゃエロいよ颯都~。今から二人で抜けない?」
「あ、あ、あんな…婬(ふしだら)な…!委員長だというのに君という人は…!」
生徒会の会長・璃空、会計・昶、副会長の京弥が揃って集まってきた。
璃空や昶は颯都にちょっかいを出し始め、京弥は眼鏡のブリッジを上げようとしているが動揺で手が震え、真っ赤になった顔を背け颯都を見ようとしない。
「そうだよ~颯都お兄ちゃん!!」
「あんなにえっちぃ挑発しちゃって……もう最高~~!!」
「うわっ!?」
隣でベタベタと触ってくる璃空と昶の処理に困っていた所に、今度は鼻血を出した双子がくっついて来る。
エロいエロい~と口々に言ってくる面々に颯都は対抗する。
「~…だから違ぇっての!!」
「違わねーな、五十嵐~」
今度は誰だ、と後ろを見る前に、琉生の手が颯都を抱き浚う。
「俺から見ても、アレはヤバかったぜ?…イケナイ生徒には、先生が直接指導しねーとなぁ…?」
「はぁ!?」
「西園寺先生。颯都に手を出したら俺が許さないよ?」
そんな騒ぐ面々を、羨ましげに見る目線が一つ。
(…いーな、オレも混ざりてぇ~…)
(なにしてんだ!?準備行くぞ、瀬川!)
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