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三十二。
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智絵の焦りように、八月と冬護も目を驚いた表情をしていた。
危機的状況に陥っていると感じた5人は、急いで支度を整える。
慎太郎たちはフードを被り、6人全員で出口へ向かう。
名鳥を守る形で、6人は走った。
光が見える方向へ走り、慎太郎が一番先に外に出る。
ーーーー「こんにちは!ひなどりくん!」
最初に映ったのは、
外の景色ではなく少年の明るい笑顔だった。
「っ!?」
一瞬止まってしまう、慎太郎の動き。
ニコッ
「そしてぇ、さよーなら!」
金色のポニーテールを靡かせながら、少年は拳を構えた。
瞬時に繰り出される素早いパンチ。
バキィッッ!!
それは大きな音を立て、慎太郎の腹にめり込んだ。
何か壊れる音がした後、慎太郎は数メートル先の壁まですっ飛ばされる。
「慎太郎っ!!!!」
それを見ていた名鳥は後ろに振り向き、真っ青な顔で慎太郎の名前を呼んだ。
彼はコンクリートに身体を強く打ち、激しい咳をしながら蹲る。
智絵と八月、冬護と葵は目の前にいる人物2人を睨んだ。
「ゲホッ……!!ゴホッ……!!」
「うわっ、すっげぇいい!!今グチャッて感触した!!グチャッて!!ちょー気持ちいい!!」
興奮気味の金髪少年に、青髪の少年は冷たい視線を送る。
「おい、そこの馬鹿。なに拳を使ってるんですか。ちゃんと左手に持った武器を使いなさい。」
青髪の男は、白い手袋のついた手で黒い金棒を指差した。
そして次に、蹲った慎太郎に指を向ける。
「ほら見なさい。対象者、まだ生きてるじゃないですか。殺す時は確実に殺さないと。」
「えーーー、だって面白くねーじゃん。簡単に殺しちゃもったいねーよー。」
頬を膨らまし、子供のように喋る少年に青髪の少年はメガネを正した。
「……まぁ、確かに。それもそうですね。」
「それにアイツ、俺たちの標的じゃねーじゃん。違う名前で呼ばれてたし。」
「ゲホッ、ゴボッ……!!」
慎太郎の口から血が吐き出される。
腹部に激しい痛みはあるが、骨は幸い折れていない。
内臓は少しやられたようだ。
智絵は額に汗を浮かべながら少年たちを見る。
本当なら慎太郎の元にすぐ駆け寄りたい。
しかし、少年たちの気迫…オーラがそれを呼び止める。
智絵以外の3人も、同じ状況に陥っていた。
(アイツらは、一体何者だ……?)
頬から汗がこぼれ落ちる。
見た目は幼いが、オーラが全然違う。
あの禍々しさは、普通の少年が持つソレではない。
(……まるで月華そのものを見ているようだ。)
とりあえず、彼らの情報を聞きださなければ……。
智絵が一歩踏み出して、恐る恐る口を開いた。
「……君たちは、一体何者だ。宇都宮家の手の者か。」
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