アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
四十。
-
*
「ハッ……!マジ、かよ……。」
ミカヅキは笑いながら、その場に跪いた。
(十二支如きに、この俺が一瞬でも負けるとか……ありえねー……。)
ボヤける視界の中、ミカヅキが最後に見たのは赤く燃える剣を握った少年だった。
(二条…慎太郎……。)
染まることのない黒髪に真っ直ぐな青の瞳。
(おぼ、えた……。)
ーーーお前の顔と名前、ぜってー忘れないからな。
バタンッ
ミカヅキは倒れ、頭から血を流しながらピクリとも動かない。
「はぁっ……、はぁっっ……!!」
ガキンッッ
肺に激しい痛みを感じながら、慎太郎は剣を杖にして跪く。
赤き刃は、未だに煙を渦巻いて燃えている。
あまりの高熱で、周りの地面は赤く溶けた。
(やっべ……早くギアを元に……。)
「おいっ!!雑魚っ!!」
鈍る思考に、冬護の声が響く。
「……そういえば葵さんは……どうなったんだ……。まだなら、助けに……。」
慎太郎は剣を使って立ち上がり、ふらふらになりながら葵のことを探そうとする。
それを冬護は駆けつけて、血だらけの慎太郎を支えた。
「馬鹿野郎!!動くな!!てめぇは此処で待ってろっ!!」
「……でも、葵さんがまだ……。」
「……奴は俺が探して連れてくる。てめぇは此処で大人しくしてろ。」
「………………。」
「とりあえず、その剣を元に戻せ。そのままだとお前自身が焼け爛れるぞ。」
「……わかった……。」
カチカチカチカチッ
慎太郎は大人しくギアを元の0段階に戻す。
シュウゥゥゥ……
すると刃は急速に冷却され、白い煙を上げながら元の黒剣に戻った。
壁に寄り掛かった慎太郎は、白濁する思考の中で冬護の後ろ姿を見つめる。
「とーご……くん。」
とても懐かしい呼び方に、冬護は慎太郎の方へ振り向いた。
「……絶対、葵さんを連れてきてね……。絶対だよ……。」
「…………………。」
へへっ、と力なく笑う慎太郎に冬護は呆れた表情になる。
「……アホ。あいつの心配より、まずてめぇの心配をしろ。」
冬護は慎太郎に軽く手だけ降って、葵の元へと向かった。
(………あの短髪。殺されてねぇだろうな……。)
先ほどから戦ってる音が聞こえない。
それに随分と大暴れしていたようだ。あちこちにヒビ割れや砕けた壁、物騒な針がいくつも落ちている。
血も所々見れた。
これが彼の血でなければいいが……。
歩みを進めるにつれ、地面に葵の武器であった爆弾や仕掛けが落ちている。
それは歩けば歩くほど、増えていった。
「……!!」
あの柱の向こう、異様に殺気立つ気配感じる。
それはとても狂気的に満ちていて、恐ろしい。
(あの奥に……アイツらはいる。)
ゆっくりと冬護が柱を避け、その向こうにある光景を見ようとする。
「っ!!!」
その光景を見た瞬間、冬護は目を見開いた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
42 / 58