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四十六。
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*
「ーーーーーーーー。」
慎太郎の瞳から、すべての光が失われる。
足下にいる名鳥は、
もうただの屍と化していた。
心配し優しい言葉をかけてくれることも、
自分を励まし暖かく包み込んでくれる笑顔も、
二度と、目にすることはない。
「………………。」
慎太郎は動かなくなった名鳥の顔を見ながら、呆然と立ち尽くした。
ーーーそして、
カチカチカチカチカチッ
「「っ!!」」
彼は持っていた黒剣のギアを最大限まで引き上げる。
刃は一気に灼熱へと染まり、蒸気が剣にまとわりついた。
俯いた慎太郎の身体からは、言葉で表しきれないほど激しい怒りで包まれていた。
晴天は厚い雲によって覆われーーー
キラキラと輝いた太陽は、灰色の雲によって完全に隠される。
街一面に薄暗い影が落ちた。
「おい、そこの女…。待てよ…。」
「ーーーーっ!!」
ガキィィンッ
慎太郎は背後を見せた少女に思いっきり切り掛かった。
少女は咄嗟に気付き、再び白銀の刃を引き抜く。
ドロッ……
しかしその刃は一瞬にして溶け、液状化してしまった。
「!?」
カランッ
少女は驚きの表情を見せ、焼き切られた刃は地面へと落ちる。
攻撃の反動によって高熱の液体が、慎太郎の顔や腕に飛び散った。
ジュッ……
皮膚が焼けるような音がした後、そこは赤く爛れていく。
「……っ、」
しかし今の慎太郎にとって、そんな痛みなど気にしていられなかった。
「…………して、やるものか……。」
グッと奥歯を噛み締め、慎太郎は鋭い眼光で少女を睨む。
慎太郎の頬や腕の傷は、白い煙を出しながら痕になった。
「許してやるものか……。名鳥を銃で撃ち抜いた奴、
彼を道具のように扱ったお前……!葵さんを殺した男も…全員全員…っ…!!」
張り裂けそうな声、
光を失った青い瞳、
それらはすべて、強い恨みで生まれている。
「全員俺が、地獄にぶち落としてやる!!!!」
慎太郎は赤き刃を、少女の身体に向けて振り抜いた。
「っ!!」
少女は両腕で庇おうとしたが、高熱の刃を人間の肉体で防げるわけがない。
ザンッッ…!!
彼女の両腕は、呆気なく慎太郎に斬られてしまった。
悲痛な声を上げながら、少女は地面に転がる。
慎太郎の持つ刃からは、
血で蒸発した煙が立っている。
「……全部俺が、焼き切ってやる。お前のその醜い腕も、足も、顔も、全て…俺が焼き切ってやるよ。」
そう言って、慎太郎は少女の首に剣を突きつけようとした。
ーーーしかし、
パァンッッ
慎太郎の太腿に、勢いよく銃弾が撃ち込まれる。
「っ、」
その攻撃で跪いてしまった慎太郎に、少女は大量の汗をかきながら後退した。
「駄目ですよ、慎太郎くん。私のシナリオを書き換えないでください。」
「っ!?」
ーーーその人物の顔を見て、慎太郎、冬護は目を見開く。
そこには、葵の爆弾で死んでいる筈のトウヤの姿があったから。
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