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疵(きず) 15
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疲労困憊してくると 性欲は増す。
やめようと 思っていた サイト。
だが 知らない人間と
嗜好の同じ人間と
接触したくなった。
ベッドに寝転がって 自分のスマホでゲイサイトにアクセス。まずは地域を絞り 年齢を絞り込む。
コメントを流して幾つか 閲覧していく。
ふと ゲイサイトを閉じて 休眠中のスマホを見る。
もう アクセスしないと 決めていたはずの 呟きを
過去アノ人とどんなやり取りをしたか もう一度見たくなった。
ずいぶんと尊大な言葉を連ねていたように思う。
思いきってオンにすると
メッセージ有りのお知らせの嵐
開けると。
気の遠くなるような 膨大な メッセージがそこにあった。
……………
済まない。電話をくれたんだね。
ずっと出張に行っていた。
個人のスマホは持っていかなかったんだ。
治安の心配があってね。
急な出張だったんだ。
決して 決して 君からの着信を無視した訳ではないんだ。
僕という人間に少し興味を持ってくれて嬉しい。
君の素直な話が聞けてとても嬉しいよ。
僕はたぶん君と同じ横浜に住んでいるよ。
結婚はしていない。
年齢は たぶん君より少し年上じゃないかと思う。
何でも聞いてくれ。
もう出張は終わった。
いつでも構わない。
電話を直接してくれて構わない。
君の話が 聞きたい。
君の声も聞きたい
今夜も 君からのコメントは無いな。
済まない。
こんなことなら 例え 盗まれる心配があっても スマホを持っていくべきだった。
千載一遇のチャンスを 潰してしまって後悔してもしきれない。
君の話を聞きたいよ。
許してほしい。
本当に 拒否した訳じゃないんだ。
信じてほしい。
どうか 返事をしてくれ。
怒らないで。
君の
君の
千春君。
………………
読みきれない程の アノ人の
謝罪と 溢れる 好意にも似た
言葉。
胸が 痛くて 堪らない。
胸が 締め付けられる。
どうして こんな俺に
こんな 優しい
狡い。
そして
切ない。
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