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兄
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そんな状況の中あいつは、ふわっと欠伸を一つ。
俺ばかり焦ってしまってるようで、苛立ちが増す。
「そうだな、離してもいいけど…」
頬を両手で挟まれ、グイッと近づけられる
ニヤリ、と笑う端正な顔に見とれてしまうが
「さっさと準備しねぇと、遅刻だな」
「……っ
え!?はあああ!?
今何時!?」
「八時だな」
HR開始が八時半
朝ご飯を食べて準備をするまでが30分
家から学校までが、徒歩20分
「なんでもっと早く言わないんだよ!!」
そう言うと、ドタドタと足音をたてながら階段を降りた。
階下からきこえてくる微かな声。
「優くん!俺今日朝ご飯いらない!」
「朝は食べないと頭回らないよ…?それに、もう作っちゃったから、食べてもらえないと悲しいな…」
「……っ!食べる!優くんが作ったものならご飯4杯でも5杯でも食べるよ!」
「ありがとう!でも今日はパンだからね!」
聞こえてくる会話に思わず吹き出す。
「っふは、この兄弟はほんとに……」
いつもより賑やかな朝に、心が穏やかになるのを感じた。
もう一度ごろりと寝転がり、先程の幸せそうな笑顔を思い出す
『…おはよぉ』
「…あれは結構……」
「おい!優くんの作ってくれたご飯が冷めるからさっさと降りろ!」
突然大きな音を立てて開いたドアに驚きながらも、返事をした
「おー、今行く」
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