アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
兄
-
いつまでも頭を撫でている手をバシッと叩き払う。
「次の全校集会で挨拶を噛みまくって失敗しますように」
「サラッとひどいこと言うね。
でも俺、要領いいからさ」
それは、つい数時間前に聞いた言葉だった
「…お兄さんと同じことを言うんですね」
信じていないわけではなかったが、あらためて兄弟なんだと実感する。
ふと、達也の存在を思い出し振り返ると、未だに焼きそばパンを食べていた。
昼休み終了五分前を知らせるチャイムが鳴り響く。
「あぁ、昼休み終わるね。またね」
思い出したようにそう言って背を向け去っていく生徒会長
「…何だったんだろうあの人」
「嵐みたいな人だったな。俺らも戻るか」
最後の一口を食べ終え、満足そうに立ち上がる。
そのまま2人は中庭を後にした。
外からは、どこからともなく授業中の教師の声が聞こえる。大きな窓から爽やかな風が吹く生徒会室にひとつ零れた、悲しげな声。
「ごめんね、真咲くん。」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
23 / 42