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兄
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胸ぐらを掴みあげるとさらに距離が近くなる。非の打ち所のないような、整った顔が心底憎らしい。
「お前が、優くんと出会わなければこんなに不安になることなんてなかった!迎えを断られてから、こっちは少しでも帰りが遅くなると不安でたまらないんだよ!!
本当はすぐにだって迎えに行きたいのに、それが出来るのが俺じゃないのが悔しい。なんでぽっと出のお前なんかなんかに優くんをっ!俺はいつだって優くんのこと一番に考えてきたのに!
それに、、、、」
優くんは、お前のことが好きなんだ。
あんな顔、俺だって初めて見た。俺の知らない優くんをこいつだけが知っていると思うと、悲しくて堪らない。達也が言うように、これは一種の依存なのだろう。
言葉にすればするほど突き刺さる現実
抑えていた涙が、零れるのを感じた。
ジッと叫びを聞いていたそいつが、ハァッと大きくため息をつく。
その溜め息に、思わず身体が揺れた。
「…逆効果だったか…」
少し項垂れたようにそう呟いた。大きな指で目元を拭われる。その瞬間、ぼやけていた視界がそっと開けた。
先ほどよりも鮮明な視界に移るそいつは、心無しか申し訳なさそうにも見える。
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