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静寂なる夜2
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俺の言った言葉にセレンゼル様は意味深な笑みを浮かべながらそう返し、キスされた場所を優しく撫でながら。
星の光とわずかな街灯の明かりしかない薄暗い道を、まるでスキップするかのような動きでどんどん前へと進んで行った。
俺はそんな楽しそうなセレンゼル様を見て、ただただ嬉しくなりながらも。
どんどん前へと行ってしまうセレンゼル様に「待ってくださいよ!! あんまり先に行かれたら俺が困ります!!」と言いながら。
夜の道を恋人が浜辺で駆け回るかのような勢いで、走り出した。
そして、しばらく楽しい追いかけっこをセレンゼル様と二人で満喫しながら。
目的地でもあるセレンゼル様の兄でもあり、この世界の管理者統括でもあるランゼルト様の屋敷へ歩みを進めた。
ランゼルト様の屋敷は石造りで出来た古城のようなお屋敷で、いつも見るたびあまりの荘厳さに圧倒されてしまう。
そして周りには色とりどりのバラなどが咲いた庭園があり、あまりの美しさに思わず花に触れたくなるが…。
俺が触れたら、きっとここの屋敷の主人であるランゼルト様が怒り狂うので。
俺は触りたい気持ちを抑えながら、セレンゼル様の後に続いて屋敷の玄関へと向かう。
そして、屋敷の扉をコンコンコンとノックしながら、扉が開くのを待ちながらも俺はこう思う。
…ああ、嫌だ。
ランゼルト様と会いたくない。
…だってあの人、俺のこと嫌いなんだもん。
いや、違うな。…あの人は俺の兄のアキツシマしか好きじゃないから、俺に対しては愛のない扱いなだけか…。
…ほんと、嫌になるぜ。
そんな取り留めのない不安を抱きながら、扉が開くのをただただ見つめていると。
ふと聞き慣れた声が聞こえ。
俺は思わず扉を開けている人物を驚いた顔をしながら見れば、なんとそこには。
黒髪でこの世界で唯一の青い瞳を持った男であって女のような、中性的な美貌が愛らしく魅力的な俺の兄でもあるアキツシマがそこに居たのだ。
そして肩にまで伸びたクセのある髪を揺らしながら
「あれ?なんで…シキシマが此処に居るの?」と驚いた顔を見せながら呟いた。
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