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『なぁ……もしよかったら、俺と一緒に、この街の事件を解決しないか? あと、アンタにお礼もしたいし……』としどろもどろになりながら、彼にそう告白すれば。
『嫌だよ……こんな街の事件なんか、どうでもいいよ。でも、君が僕の恋人になってくれるのならいいよ。あと、お礼なんかいらない。僕は唯……僕の大切なものを全力で護っただけなんだから』
『へぇっ……なっ……何だよ、それ!? ってか……恋人になってくれって? マジかよ?』
『マジだよ。なんで、嘘なんかつかないといけないの? 僕はヴィクトルが、僕の恋人になってくれたら、君が望む通りの事を、全てしてあげるよって言ってるだけだよ。だからさ……君の答えはどっち? はいかYESだけで、答えてよ』
『どっちも、同じ意味じゃねぇかよ!! YESだし、はいだよ。これで、良いだろう? というか、俺なんかで……良いの?』
『君でないと、駄目だよ……だって君は……』
そんなやり取りを思い出した所で、白いお皿の上に乗った出来立てのホットサンドが、俺の目と鼻の先にドーンと、勢いよく置かれたので。
俺は猫がビクッと驚くように、体全体を使って驚けば……。
「ヴィクトルは、本当にビビりやすいよな? そんなに他人が怖いのか? まあそんな忌々しい見た目を持ってるし、分からない事はねぇけどよ」
「うるせぇ、俺の外見がなんだよ。そんな見た目だけで、判断する愚かな奴に、アンタも成り下がったんだな? 見損なったぜ、凄くダサい事するんだな、アンタも」
自分自身では、どうしようも出来ない。
この黒髪蒼目の容姿に向けて、蔑むような悪意しかない言葉に対して。
俺は抗議するように、長年の怒りと許せない思いを込めた声で、そう言い返せば……。
にこにこと笑ってお茶らけていたマスターも、これは『マズイ事をした』といった表情で、
「悪りぃ、そういう意図があった訳じゃねぇよ。本当ごめん、凄くデリカシーのない事を言ったな……。傷つけるつもりじゃ、なかったんだ。だけど、そんな風に怒らせちまったから、今回のこれは全部タダでいいよ」と狼狽えて答えるので。
俺は、それに対して……。
「今回はそれで許してやるけど、次また俺の見た目について、そんな態度をしたら……。マスターとの縁も含めて、何もかも切るからな」
「わかった。もうやらないように、気をつけるからさ。機嫌なおせよな……ってセシュ、丁度良い時に帰って来て、ベストタイミング!!」
尋常なく怒る俺を宥めながらも、隙をついて逃げる動物のように……。
大きな紙袋を抱えて入ってきた、クセのない赤いミディアムヘアーの、気弱な黒縁眼鏡の青年セシュに、そう助けを求めるので。
「なっ……なんでもねぇよ。セシュには、関係ない事だから」
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