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12 完
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俺は朝自分が言った言葉が、まさかここで出てくるとは、思っていなかったので。
「へぇっ……あっ……バカっ……!? 恥ずかしいことっ……言うなよな、この変態!!」
「変態って……酷いな? せっかく君が望む、忌々しき自分になってあげてるのに。そう言うのなら、髪の毛……バッサリ切っちゃおうかな」
「はっ!? それはダメ!! 絶対にダメ、だってそっちのアンタも、今のアンタも大好きだから、お願い切らないで」
本気でやりかねない勢いで話しかける彼に、俺は懇願しながら、そう言葉を返せば。
「切らないよ……今の僕も、この僕も、愛してくれるヴィクトルの願いなら……。切りたくても、切らないよ」
アレクセイはどこか、ここに居て、ここに居ないような雰囲気で。
嬉しくもあって、悲しくもある、そんな不思議な声で、俺にそう答えながら……。
──知らぬ間に入っていた寝室の、白いキングサイズのベットの上に。
壊物のように、俺を優しく横たえるので……。
俺は「にゃぁっ……」と猫のように短く、抗議するように鳴けば。
「可愛い声だして……ヴィクトルったら、僕にいっぱい、可愛がって欲しいの?」と見た目と反したレベルの、甘い声で、アレクセイは笑ってそう返すので。
俺はそんな彼の言葉を聞いて、抑えきれないぐらいの甘えたい気持ちが、沸々と湧き上がって……。
「うん、俺が俺じゃなくなるまで……可愛がって欲しい。だって、貴方だけが、この世界で唯一、どんな時でもこの『私』を、いつも救ってくださる人ですもの」
そう俺は、自分の意思を越えた、過去の自分の思いを、口から吐き出して。
この世界で誰よりも、自分を大切にしてくれる。
『大好きな人』に、この身で触れながら……。
──誰かの命で輝く日の光が、この部屋を包むまで。
悪夢のような世界で、夢のような世界を。
二人だけで、そう二人だけで楽しむのだ……。
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