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今にでも泣き出しそうな声音で言い放つアキの言葉に、僕は聴いていたいけど聞いていたくないという相反する二つの感情に猛烈に襲われて、訳もわからず勢いよく机を一発左手で、バーンと穴を開けるような強さで叩いて……。
──感情が制御出来ていない機械のように、目の上からは苦痛と悲しみに嘆く表情で、目から下は幸福と喜びに微笑む表情という。
僕が今置かれている、状況をそのまま表現したような、偽ることも強がる事もしないありのままの姿で。
「そうか……それがヴィクトルの気持ちなんだね。ごめんね、アキ……すごく取り乱して、本当にすまないと思ってる。でも怯えないで欲しい、あんな姿でも好きで居てくれてるんだなって、分かったから。頼むからそんな顔しないでくれないか、君を僕はそんな風に泣かせたくないんだ……」
そう僕は何振りかまっていられないような態度と声音で、アキの体をぎゅっと幼児のように抱きしめて。
──彼の頬に涙を止めるおまじないをかけるように、何度も何度も啄む程度の優しい口付けを贈ると……。
「アレクセイ様こそ、泣かないでください……あと、アキはもう大丈夫ですから。それと、こういうことはヴィクトルだけにしてあげてくださいね」
「……嗚呼、それは分かってるよ。僕はどんな事があろうとも、ヴィクトルだけにしかしないよ。それは今も、例外なく変わらないさ…」
「えっ……それって、どう言う意味でしょうか?」
「分からないなら、今はそれで良いさ……この意味が全く分からないのなら、僕の戯言だと思ってくれれば良い。嗚呼ほんと……今日は最高に悪夢(夢)のような気分さ。だから、少し外で頭を冷やしてくるよ……じゃないと、僕はここで君を……いや、なんでもない、なんでもないさ……」
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