アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
season #6
-
GWも過ぎ、新入生が入り、浮き足立った校舎が、平静を取り戻しつつある5月も半ば。
修は特殊学科校舎の階段を上っていた。
1年生の教室は2階。
一段抜かしで上っていくと、途中で女子生徒とすれ違う。
きゃあっと言って避けるその子にわき目も振らず、智の教室に向った。
開けっ放しのドアから智を探すと、智はクラスの男子と仲良さそうに笑っている。
チクッと修の胸の奥で何かが刺さる。
そんな修にすぐ気が付いて、智は修に向かって手を振って駆け寄ってくる。
「修君。どうしたの?」
智の笑顔を見て、また、違うところがズキッとした。
「今日、部活が終わるの、何時くらい?」
「う~ん、6時位だと思うけど……。」
智が首に手をやりながら、微かに首を傾ける。
修の胸が、今度は、ドキッと脈打つ。
「……。」
「修…君?」
修は、智の手に釘付けになる。
筆を持つ細い指先。
自分とは違う関節の滑らかさ。
その手の先にある、薄紅色の唇……。
「どうしたの?具合悪い?」
智はおもむろに、修の額に手を当てる。
「熱……はないみたい。」
修はハッとして智の手を払いのける。
「修君?」
「あ……ごめん。なんでもない。大丈夫だから。」
修はそのまま智に背を向け走り出した。
自分でもどうしていいのか、わからなかった。
「はぁ……。」
部活が終わり、部室で着替えながら、修は溜め息をついていた。
「どうした、斉藤。」
先輩が心配して声をかけてくれる。
「いえ……何も……。」
「女かぁ?」
先輩は笑顔で修の背中をバンバンと叩く。
「ち、違います!」
背中を摩りながら、おろおろしている修を見て、先輩はさらにおもしろそうに笑う。
「図星か。」
「違いますから!」
修が必死で否定しても、先輩は全く聞き入れず、
ニヤニヤしながら修を見ていると、
部室の入り口の方から、聞きなれた声が飛び込んできた。
「斉藤修君、いますか?」
修はびっくりして振り向くと、入り口に智がちょこんと立っていた。
むさ苦しく、男臭い部室には不似合いな智はみんなの注目を集めた。
「べっぴんさんだねぇ。」
女に手が早いとうわさの先輩が智に近づいていく。
「先輩!智は男ですから!」
修は手早くズボンをはくと、ネクタイを首にかけた。
「わかってるよ。」
先輩は修に向って笑って見せる。
「でも、なんか……男でもいいな。こいつなら。」
先輩が値踏みするように、智を上から下までじっと見る。
修は大慌てでブレザーを羽織ると、
「お先に失礼します。」
そう言って、きょとんとしている智の背中に腕を回し、部室を出て行った。
足早に、部室から100m位離れると、修は歩く速度を落として、
智の背から手を離す。
「ごめん……迷惑だった?」
何がなんだかわからず、修のするままになっていた智が口を開く。
「そんなことないよ。でも、部室には来ない方がいいかも。ほら、臭いし。」
修は笑って智を見ると、智は眉を下げて、修を見返す。
「迎えに来てくれて……嬉しかった。」
顔を赤くする修を見て、智はやっとホッとして、ふにゃりと笑う。
「今日、様子がおかしかったから、心配になっちゃって。ごめんね。」
修はネクタイを結びながら、
「そうだったっけ?」
と、笑ってごまかす。
言えるわけがない……。
桜の下のキスを思い出したなんて。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
6 / 83