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season #7
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修が不器用にネクタイを結んでいると、
智が、修のネクタイに手を掛け立ち止まった。
「かして。」
昼休みに見た智の指が、修の目の前で器用にネクタイを結んでいく。
仄かに香る智の匂い。
シャンプー?ボディソープ?それとも服の匂い?
そんな清潔感のある匂いに混じってする、油絵の具の匂い。
智が最後にキュッとネクタイを締めると、修を見てニッコリ笑う。
「うふふ。綺麗にできたわよ。あなた。」
ふざけて、そんなことを言う智は、
修の顔にカッと血が上っていることにも気づかない。
ポンポンとネクタイを叩いて、修から離れる。
その智の腕を、修は引き寄せ、抱きしめた。
ダメだ、ダメだ、と心の中でつぶやきながら、
修は智の背中に回した手に力を込める。
「どうしたの?修君?」
智はされるままになりながら、心配そうに聞いてくる。
「ちょっとだけ……。ちょっとだけ、じっとしてて。」
「う?うん……。」
智の匂いに包まれ、智の鼓動を聞き、智の息遣いを首筋で感じる。
夕暮れ時の空は雲一つなく、どこまでも見渡せる。
人通りの少ない道で、修は想いに任せて智を抱きしめる。
買い物帰りの主婦が、二人をチラッと見て、視線を逸らした。
修はそれに気づき、ああ、やっぱり……と思った。
智を抱きしめていた腕を解き、智を離す。
「ごめん。ちょっと落ちてて……。今ので元気になったから。」
智にそう言うと、智は心配そうに笑った。
「部活のことだから……。練習するしかないよね?」
修はそう言って、空を見上げる。
練習……練習してどうにかなるなら、どうにかしたいよ。
泣きそうな顔で笑う修を見て、智はただ、黙って並んで歩いた。
家に帰ると、修は階段を駆け上がる。
お母さんが何か言っていたが、返事もせずに部屋にこもる。
ベッドの上に仰向けになると、目の上に両手を当てる。
自分が何をしたいのか、どうなりたいのか……。
さっきの智の匂いが蘇る。
抱きしめた感触、温もり、優しい声、可愛い笑顔。
桜の下のキス……。
あんなに綺麗で純粋な智を、俺は……メチャメチャにしたいと思ってる。
二人の関係も壊し、智自身をもメチャメチャにしたいと。
抱きしめながら、心に浮かぶのは淫らな欲望……。
思い出しただけで、中心に熱が溜まっていく。
あのキスから、修の中に芽吹いた妄想。
智を蹂躙していく、自分。
嫌がる智を、無理矢理、犯していく自分。
ものすごく汚いもののようで、ものすごく純粋な自分の気持ち。
この日初めて、修は智を思って一人で抜いた。
永遠に来ることのない、その時を想像して……。
そして、このままじゃ、いつか智を傷つけると、そう思った。
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