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season #66
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なんとか、お風呂を済ませ、部屋に戻ると、夕飯の準備ができていた。
夕飯と言っても、もう9時近い。
早く食べないとおばさんに迷惑がかかる。
テーブルの上にはお刺身や天麩羅等、海の幸が並んでいる。
5人は浴衣姿で、頭を拭きながら、適当にテーブルにつく。
入り口に近い方から、智、修と並び、向かいに和哉、雅範、淳一と続く。
「うふふ。ランチの時もほとんどこの並びだよね?」
智がニコニコしながら、目の前の食事に目を輝かせる。
「そう言えば、5人でいる時はこの順番が多いかも。」
和哉はしゃべりながらも、おひつのご飯を混ぜる。
おひつの隣には味噌汁。
お茶碗とお椀も重ねて並べられている。
脇にはおじさんからの差し入れのジュースが2本。
「不思議なもんだね~。落ち着く場所?」
雅範が和哉からご飯を受け取り、みんなに回す。
ご飯、味噌汁がよそい終わると、和哉はおひつを雅範に差し出す。
「どうせ、あんたが全部食べるんだから。」
「え?いいの?全部食べて。」
雅範が喜んで自分の後ろにおひつを置く。
「ばか!ダメに決まってんだろ?俺もお替りするから!」
修はおひつを寄こせと、雅範に向かって手を差し出す。
「俺も食うから!」
淳一も隣からおひつを奪う。
「まずは食べてから!全部食べられるかどうかわかんないんだから。」
和哉が一喝すると、三人は口々に小さな声で食べられるとつぶやく。
それを見て、智がクスクス笑う。
和哉がパンパンと手を叩き、合図を出す。
「じゃ、いくよ……せーの。」
「いただきま~す。」
5人は声を揃えて言うと、ご飯を一気にかっこんだ。
育ち盛りが半日、何も食べていないのだ。
それは勢いよく平らげていく。
「旨い!この天麩羅、最高!」
「美味しい♪さすが海の近く!」
「お刺身、プリプリ!」
「おばさんの煮物も絶品!」
「俺、ご飯、5杯はいける!」
雅範が言うと、和哉が横目でじとっと見る。
「食べ過ぎて苦しくならないでくださいよ。」
「その前に、ご飯がなくなるよ!」
忙しそうに料理を口に運びながら、雅範が言う。
「なんでそんなに急いでるの。」
和哉が溜め息交じりに言う。
「だって、早く食べないと、修ちゃんとジュン君に取られちゃう!」
見ると、淳一も修も物凄いペースでご飯を飲み込んでいく。
「しゅ、修君、大丈夫?」
智が刺身を口に運ぶ。
「それで味わえるんですか?」
和哉も天麩羅を頬張りながら、淳一と修を見比べる。
「味わってるよなぁ?」
口いっぱいに詰め込みながら、修が淳一を見ると、
淳一もうんうん、とうなずく。
「そう言えば、さっきのお風呂、温泉だったね~。」
雅範が気づいてた?という風に、自信満々でみんなを見る。
「ばか。みんな気づいてるよ。」
淳一が言い捨てる。
「え?本当?気づいてた?」
雅範は和哉と智に聞く。
「気づいてましたよ。匂いが違うし、流しっぱなしだったでしょ?」
和哉は雅範を見ずに刺身を口へ持っていく。
「智も?」
雅範が聞くと、智もふふっと笑って煮物を口へ入れる。
「な~んだ、じゃ、露天があるのは知ってる?」
「へぇ~、露天もあるんだ。」
修が興味ありそうに答える。
「後で行こうよ。」
風呂好きの雅範が嬉しそうにみんなを誘う。
「いいねぇ。」
淳一は同意しながら、ご飯を運ぶ手を休めない。
それに気づいた雅範が慌ててご飯をかっ込んでいく。
「あ~あ。」
それを見て、和哉が大きく溜め息をついた。
テーブルの上の料理はあっという間になくなっていく。
ご飯も、おひつのお替りをお願いし、お替りのおひつも空になった。
「あの食べ物達はどこに行ったんでしょうね?」
和哉は3人の体を見て、不思議に思った。
3人の細い体が、あの量を吸い込んだとはとても思えなかった。
「俺ら、食べてるそばから消化しちゃうから。」
雅範はそう言って、ああ~、と後ろに寝転がった。
智はお茶碗が並べてあったトレイの脇のジュースに手を伸ばす。
「このラベル、キレイ。」
「それ、この辺で作ってるジュースなんだって。智、飲んでみれば?」
淳一が笑いながら、目の前のお新香を摘む。
「うん。おいしそう。飲む?」
智が、みんなを見回すが、誰も手を上げない。
それを見て、修がそっと手を上げる。
「俺、いいや。味見だけさせて。」
お腹いっぱいで、お腹をポンポン叩きながら雅範が言う。
「マー君、おやじ。」
智はクスクス笑いながら、グラスにジュースを注いでいく。
「学校の女子に見せてあげたいですよね?この姿。」
和哉は自分の鞄からカメラを取り出すと、寝ている雅範に向かってシャッターを切る。
「やめろよ~!」
雅範の手が、顔の前でバツを作る。
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