アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
season #69
-
「なんでそんなに上手いわけ?」
雅範が納得できない、と和哉の顔を見る。
「ま、運動神経っていうんですか?」
和哉はフフンと鼻を鳴らす。
「まぐれだろ?」
淳一は和哉の肩に腕を回し、耳元でささやく。
「まぐれじゃありませんから!実力!」
和哉が頬を膨らませる。
「やっぱり?そう思うよね?」
雅範は笑って淳一に目配せする。
そんな雅範のお腹を、和哉はグーで殴る。
「痛っ!」
雅範が悲鳴をあげると、
「雅範が悪い。」
さも当然というように、にっこり笑う。
「じゃ、なんでジュン君は殴んないんだよぉ!」
雅範の抗議も空しく、和哉はまたにっこり笑った。
「雅範の方が殴りやすい。人間性かな?」
「カズっ!」
雅範が和哉に殴りかかろうとすると、和哉は淳一を盾にして逃げる。
「和哉!俺を巻き込むなよ。」
そんな風にふざけながら廊下を歩き、自分達の部屋の前に到着する。
笑いながら、ドアを開ける。
露天風呂で一汗流した後、卓球台を見つけ、また汗をかいた三人。
意外にも、中学から運動部に入っていない和哉が一番上手く、
雅範と淳一のプライドを傷つけた。
「さて、布団は……。」
三人は露天風呂に行く前に、おばさんに布団は自分達で敷くから大丈夫と話しに行った。
おばさんは遠慮しなくていいからと、笑って三人をお風呂に送り出してくれた。
あの汚い部屋を見て、布団が敷けたのかどうか、心配だった。
奥の部屋しか布団を敷くスペースはない。
三人が部屋へ入ると、テーブルの奥、窓際に敷いた布団に智が寝ている。
夏掛けをお腹から下に掛け、先ほどの色気は影を潜めている。
しいて言えば、襟の間から見える首筋が、まだ仄かに色を帯びている程度。
その隣に、頭をくっつけるようにして、修がうつ伏せで寝ている。
「修ちゃん、ちょっと移動した?」
和哉が二人に聞く。
「すごいね。寝てても智の近くに行っちゃうんだ。」
雅範は、感心するように首を縦に振る。
「さ~て、どうしますか?」
淳一が和哉の顔を見る。
「寝る場所。」
言われて和哉は考える。
寝る場所……。
奥の布団は4枚並べて敷いてある。
他に敷くところがないのだから、仕方ない。
智をあっちに移動したところで、隣に寝られるのは二人。
私達は三人……。
しかも、隣に寝て、一晩悶々とする?
いや、隣の部屋でも悶々とする?
でも隣よりはマシか……。
「じゃ、智はこのままで、重いけど……修ちゃん移動させましよう。」
「え?修ちゃん、移動させるの?」
雅範が嫌そうな顔をする。
「当たり前です。このままにしたら、明日の朝には智の布団に入ってますよ。
この人。」
二人はうんうん、とうなずく。
「わかったら、ジュン君、修ちゃんの頭、雅範は足持って。」
「ちぇ。やっぱりこういうことは俺らがやるんだ。」
雅範が不満げに口を尖らす。
「筋肉の違いです。ほら、文句言ってないでさっさとやる。」
和哉に支持され、修は奥の布団の一番窓側に寝かされる。
その隣に淳一、雅範、一番廊下側に和哉が寝ることになった。
夜更かし組みの三人も、やっとゆっくり目を閉じる。
布団に入って目を閉じると、さっきの艶を帯びた智が思い出される。
三人は思い出さないように、ギュッと目をつぶった。
和哉は体が火照らないように、冷房の温度を1度下げる。
「じゃ、お休みなさい。」
和哉が電気を消すと、障子から差し込む月明かりのみになる。
隣の部屋で眠る智が寝返りを打った。
三人ともドキリとする。
三人は長いこと、隣の智の音から気を逸らすことができなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
69 / 83