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episode.02 契約恋愛、してみませんか?
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〜恋side〜
「……人?!」
恋は門の前でおもわず声を上げる。
「んー……?」
男のサラサラの焦げ茶色の髪の毛が風に揺れる。
「あの……大丈夫ですか?」
「え……?あれ……ここどこ?」
「……俺の家の前です。」
「君の家……君誰?」
(いやこっちが聞きたい……)
男は綺麗な顔立ちで、黒い縁のメガネをかけていた。
「なんであなたに教えないといけないんですか?」
「それもそーかー。」
「……ところでどいてくれませんか?」
「んぇ?あー、ごめんねー。」
(この人どっかで見たことあるような……)
「うっ……やば……」
男はそう言うとガシッと恋の腕を掴む。
「…え?」
「うぅぉぉぇぇぇ」
「……はぁぁぁぁぁ?!」
夜の住宅街で恋の叫び声が響き渡った。
*
翌朝。
「んあ?」
「起きました?」
そう言った恋はお盆を持っていて、それを枕元にある台においた。
「……誰?!」
男は叫んで飛び起きた。
「……昨日あなたに吐かれた男です。」
「え、俺吐いちゃった?!ごめん!しかも服とか……全部変えてくれたんだ。」
「さすがに吐瀉物ついたものは洗ったほうがいいかなと思ったので。」
「そっかそっか!ありがとな。」
「ところであなたは誰ですか?」
「ん?俺は赤津琉。」
「赤津、琉……って……俳優の、ですか?」
「そうだよ。驚いた?」
赤津はそう言って悪戯っぽく笑った。
「で、君は?」
「青木です。」
「下の名前は?」
「……恋。」
「れんってどういう字書くの?」
「恋(こい)で、れんって読みます。」
「へー……なんか女の子みたいだね。可愛い。」
「……は?」
「ごめんって。」
「……体調は平気ですか?」
「んー、頭はちょっと痛い……」
「酔い覚ましのスープ作ってあるので、飲みますか?」
「え、優しすぎない?」
「いらないならいいです。」
「いや!いります!食べます!」
「そうですか……ところでどうして俺の家の前で倒れてたんですか?」
恋は枕元に置いてあったスープを赤津に出す。
「えーと……まあその、酒を飲んで、気がついたらあそこにいたというか。」
「あんなになるまで飲むなんて……」
恋は呆れていた。
「なんか……昨日、新しいドラマの配役発表があって、俺主役になったんだけど。」
(頼んでもないのに勝手に話し始めた…)
恋は何も言わずに聞いている。
「俺、その、ゲイ役なんだよね。」
なんだそんなことかよ。俺なんてほぼ毎日男に突っ込まれてるんだ、と恋は思ったが心にとどめる。
「そういうのに偏見があるということですか。」
「いや?そうじゃなくて。役やるのに気持ちがわかんない役なんて俺やりたくない。それって絶対視聴者に伝わんねえじゃん。俺は本当に男を好きな男の人の気持ちがわからねえ。だからやりたくないんだよ。」
恋は、この赤津という男が思った性格と違うことに驚いた。
いくら性における自由が増えたとはいえ、偏見はまだまだ多いのが現状だった。
「だから、恋人に対してどういう風にするかとかわかんねえし。しかもラブシーンまであるってんだ!知らないことをできるわけない。」
(……暇つぶしくらいにはなるかも)
恋はなぜか目の前にいる男を知ってみたくなった。
他人には無頓着な恋が、だ。
「あの……ひとつ提案があるんですけど。」
「ん?なに?」
「俺と契約恋愛、してみませんか?」
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