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episode.10 用意…?
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〜恋side〜
8月20日 12時
「……これで全部か?」
「だと思う。」
恋と明希はショッピングモールでお泊まりに備えた買い物をしていた。
「泊まりとか初めてでわかんない……」
会計を済ませ、2人はモール内のカフェに入った。
「恋、修学旅行も行ってないもんね。」
「明希は高校の修学旅行はどこ行ったの?」
「沖縄。」
「海見たことあんのか。」
「え、恋はないの?」
「テレビでは見たことあるけど……」
「……なんか俺行くのすごい邪魔な気がしてきた。行くのやめようかな。」
明希は冗談交じりにそう笑った。
「え、ダメ!」
恋は突然声を荒げた。
「冗談だって。なんでそんな必死になるのさ。」
「……デートとかしたことないもん。わかんない。」
「……恋、それさ、赤津さんの前でもそんななの?」
「……どういう意味?」
「いや、なんでもない……」
「……明希?」
「気にしないで。で、お泊りデートってことはやっぱそこでするんだろうな?」
「え?セックス?」
「……だからオブラートに包んで。俺はいいけど、まだ日本はそういうのを簡単に口に出せるほど開放的じゃないよ?」
「悪い。するかどうかはわからないな。」
「何も言ってこないの?」
「……うん。」
「まあでも、わざわざ2泊3日でしょ?絶対するって。」
「……そういえば部屋は2人きりにするとか言ってた。」
「やっぱするんじゃん!それはする気満々だって。」
「そういうもん?」
(恋って本当普通の恋愛知らないよなぁ……)
「そういうもん。てかゴムとかどうすんの?後ろの準備は仕事柄、いつもしてるだろうけど。」
男同士がするというのは楽ではない。女役は当然準備が必要だ。
「ゴムって俺が用意するもんなの?」
「んー……俺は交代で用意してたけど……あ、あとローションは俺が用意してた。」
「あー……ローション使ったことないからわかんない。」
「え、仕事は?」
「ローションなんて使わないよ。」
「え!それ絶対痛いじゃん!」
「痛いよ。俺気持ちよかったことないもん。」
「うわぁ…」
「明希は?気持ちーの?」
「……人による。」
「それもそうか。」
「赤津さんってそーゆー経験あんのかなぁ?」
「男と付き合ったことないのはわかってるから、少なくとも男との経験はないだろ。」
*
〜琉side〜
一方、別のショッピングモール。
「わかったぞ。」
恋たちと同じく、買い出しをしたあとカフェに入った琉と翔也。そこで翔也は資料を出した。
「お前の見立て通り、恋くんの両親は事故で死んでた。でもこの事故、不自然な点がいくつもあるんだ。」
琉は資料をパラパラとめくり、目を通す。
「何より、当時の事故の担当者が今の警視総監、烏沢俊蔵(からすざわとしぞう)。そして事故の第一発見者は当時19歳の烏沢紘(からすざわひろ)、俊蔵の一人息子だ。」
「裏ありまくりじゃないか。」
「でも俺の親父が本部に入ったのって5年前だから、この事故のことを詳しくは知らなくてさ。これ以上の資料は手に入らなさそうだ。」
「わかった。ありがとう。」
「それともう一つ、恋くんのこと知ってるってやつがいたよ。こちらもお前の見立て通り、AV男優で間違いなさそう。」
「やっぱりか……ネコだったろ?」
「うん。そいつが友達からもらったっていう、恋くんの出演作品持っててちょっと借りてきた。」
「見たのか?」
「見ないよ……俺はそんな悪趣味じゃないっつの。それより気になるのは……」
翔也はDVDを取り出す。
「この会社、烏沢の支援先だよ?」
「本当だ……」
警視総監、烏沢俊蔵は烏沢家の第一相続人。烏沢家は日本に残る財閥の一つ。どうやら恋の勤めるLOVECENTERはその烏沢財閥も支援しているようだった。
「あー、裏がありすぎて。どこの昼ドラだよ!」
「まあ恋くんの身に何も起きてないんだから、今は放っておくのがいいかもしれないよ。」
「そうだな……となれば!目下俺の悩みは今度のお泊まりだ!」
「ゴムとローションは用意した?」
「……え?」
翔也の言葉に琉は思わず聞き返す。
「え?ヤらないの?」
「え?ヤるの?」
「お前、普通お泊まりで、それも2人きりで泊まるのにヤらないとかあり?」
「……だって……俺やり方知らねえんだもん。」
「恋くんはわかってるでしょ。」
「いくら契約でも俺がリードしたいじゃん!!」
「そうですかー。」
「棒読みやめろ……翔也、お前どっちなの?」
「タチだけど。」
「じゃあ教えてくれよ?な?頼むよ!」
「……まあそうなる気はしてた。教えろって言ってもなぁ…まあとりあえず後ろにそう簡単に入らんってことだけはわかっといてほしい。」
「ん?」
「女の子と違って勝手に濡れるわけじゃないから。まあここ最近は、薬剤投与すれば体質変わって勝手に濡れたり、妊娠も可能らしいけど、恋くんがそんな薬投与してるわけないから。」
「え、待って俺の頭追いついてないから。てかまず男で妊娠って何。」
「ニュースとか見ないわけぇ?」
翔也は呆れた声を出す。
「み、見てない。」
「つい先日、人体実験が完了して、本格的に男性妊娠が可能になったの。逆もしかりで女性でも精子が作れるようになったりとか、とにかく、同性婚のその先ができるようになったってわけ。」
「そうなのか!」
「まあ妊娠の方は体質の合う合わないはあるらしいけど、誰でもお尻の穴は勝手に濡れるようになるらしいよ。」
「……翔也、もう少し遠慮ってこと覚えて。」
「ごめんごめん。んで、もとい。恋くんはそういう特別な男ではないわけで。それに恋くん受けのDVD網羅してるやつがいて、そいつ曰く、恋くんは全く感じてないだろうってさ。」
突っ込みたいところは山ほどあるが。琉はそれをスルーして先に進む。
「気持ちよくないってことか?」
「うん。多分だけど前立腺擦られてないし、前触ってても生理現象で出ちゃってるって感じらしい。」
「……ゼンリツセン?」
「お前無知すぎるな。よし、今晩は俺の家でレクチャーする!!」
「は?」
「大丈夫、自分の体で覚えろとか俺の体使えとかそんな変なこと言うつもりないから。恋くんに遅くなるって言っときなよ。」
「わ、わかった。……そもそも俺は何を用意したらいいの?」
「それも含めて教えてあげるから!黙ってついてこいっ!」
2人はモールを後にして、翔也の家に向かった。
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