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episode.12 初めてなんだから
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〜琉side〜
「うわぁ……綺麗……」
海辺で恋は感嘆の声を上げる。
恋は海を見るのは初めてだと言っていた。
「風きもちー!」
明希もテンションが上がっているようだ。
恋と明希は顔を見合わせるとニッと笑う。
恋は琉の手を離し、明希と2人で浜辺に駆け出していった。
「いやー、若いっていいねー!」
「お前いくつだよ。」
琉は翔也の言葉を聞いて笑う。
琉は海辺でニコニコと笑っている恋に目をやる。
(こうやってるとただの19歳なんだけどなぁ。)
先日耳にしたばかりの恋のワケありの過去。時折見せる切ない表情はそれが原因か、と琉は思った。
あまり心を開いてこないのもそれゆえだろう。
「なに考えてんの?」
「ん?別に、なにも。」
「あ、そうだ、琉。例のアレ頼んだぞー。」
「お前本気なの?」
「当たり前だろ?俺は別に誰彼構わず口説く男じゃないし。」
「でも会ったばっかりだろ?」
「……まだ付き合うとは言ってないだろ。でももっと仲良くなりたいってだけ。」
「ならいいけど。」
「間違っても傷つけるようなことはしないよ。」
そういった翔也はかなり真剣な顔つきだった。
こういう時の翔也は本気だ。
「珍しく本気だな。」
「珍しく言うなー!そんなことよりアカツクン。」
「変な呼び方すんな。」
「夜の準備はできておられますの?」
「気持ち悪い喋り方すんじゃねーよ……準備もなにもあるかっ!」
「ちゃんと教えてあげたこと覚えてる?」
「お、覚えてるよ!うるせえな!」
琉は頬を真っ赤に染めた。
「琉が照れてどうすんの。」
翔也はお腹を抱えて必死に笑いを堪えている。
「うるせえバカ!初めてなんだから仕方ないだろ!」
琉は海にもよく響く声で叫んだ。
「赤津さん?なにに叫んでるんですか?」
その声を聞いて恋が反応した。
「な、なんでもない!」
琉はますます顔を赤くし、それを見た翔也がまた笑う。
明希は何かを察したらしく、恋の肩をぽんと叩くと、耳元で囁く。
「初めてといえばさ、やっぱヤるんだろ?」
恋はその言葉を聞いて途端に顔を赤く染めた。
琉には明希の声は聞こえておらず、恋が突然顔を赤く染めたのを見て驚いた。
「恋?どうした?」
「なんでもないです。問題ありません。」
明希がクスクスと隣で笑っているのを見て眉間にしわを寄せる恋。琉はそれを見ておもわず吹き出した。
「……なんで笑うんですか?」
「いやー!明希くんといる時の恋は素の恋なんだなぁって思ってさ!ちょっとだけ明希くんが羨ましいわ。」
琉はそういって笑った。
「いやー、俺からしたら赤津さんも十分……」
明希はそこまで言いかけてやめる。
琉も翔也も先が気になったものの問い詰めることはしなかった。
「よっしゃ、もうちょっとあっちの方も歩いてみようよ!」
翔也がそういって指差したのは昔ながらの商店街。
4人はそちらに向かって歩き出した。
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