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episode.13 濡れた前髪
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〜恋side〜
「ふぁー……癒される。」
「夏場でも温泉っていいんだなぁ……」
18時、恋と明希の2人は露天風呂に入っていた。
あれから散々街を歩き回り、昼ごはんを食べ、少し海で遊び、帰ってきたのは17時頃だった。
女将にお二人ずつどうぞ、と言われたはいいものの、赤津とは入る気にはなれるはずもなく、木之本とはもっと入る気にならず。結局明希に落ち着いた。
「な、準備、すんの?」
「……は?明希の前でやるわけないじゃん。」
「……俺の前じゃなきゃするんだ?」
(しまった……墓穴を掘った……)
「う、うっさい!」
恋は口元までお湯に浸かる。
「恋、いちいち反応可愛いよね。」
「は?明希、頭打ったの?」
「打ってない。俺はお前のこと知ってるからいいけど、そういう反応ばっかしてると本当に掘られるぞ。」
「……もうすでに掘られてるから。」
「じゃなくて!仕事じゃなくて。赤津さんの前ではいいかもしんないけど。」
「んなこと言われてもわかんないもん……」
「まあそうだろうけどさ……で、準備すんの?」
「おま、しつこい!」
「気になるじゃん!!赤津さんだから大丈夫だと思うけど、ちゃんと優しくしてもらえるかな、とか俺も心配してんの!」
「…………る。」
恋の声は小さく、明希には届かない。
「え?」
「準備、する。」
「そっか。嫌なことあったらちゃんと嫌って言いなよ?」
「言わない。だってこれ仕事だもん。」
「ったく……恋はもう……」
「仕事は仕事。お金もらうからにはしっかり恋人役やるって決めた。」
「まあ、恋が割り切ってるならいいけどさ。じゃ、俺のぼせそうだから先上がるよ?恋はごゆっくり!」
明希は最後にからかうように一言言う。
「ゆっくりなんかするかバカ……俺ものぼせんだろうが…」
恋は湯船から出てシャワーの方に向かう。
ここは露天風呂ながら端の方にシャワーが備え付けられていた。
恋はシャワーを尻に当て、丁寧に洗う。
(あー……本当にやっちゃうのかな……)
恋は洗い終えるとシャワーをきゅっと止め、脱衣所に向かった。
「お、恋。」
着替え終え、脱衣所から出ると赤津がいた。
「あ、赤津さんっ?!」
「どうした?そんな慌てて……」
(やばい…なんか意識しちゃう。)
恋は瞳を伏せる。
「恋?」
赤津は恋の濡れた前髪を手ですくい上げる。恋はそれに驚き、思わず手を払ってしまった。
「あ……あの……すみませんっ……」
「いや、突然触って悪かった……大丈夫か?」
「え……?」
「いや、なんか顔赤いし。のぼせた?」
「そ、そうかもしれないです……」
「あれ、琉ー?なにしてるの?」
そこに木之本がやってきた。
「あ、恋くんがいたのか。今明希ちゃん部屋で1人だから、行ってあげて。」
「はい。じゃあ、またあとで。」
恋はペコっと頭をさげると部屋の方へ向かう。
「……なぁ。恋がエロい。」
「は?!」
「あの濡れた髪の毛とか、見上げてくる視線とか!まじでエロい。あれは俺の理性を試してるのか?」
「琉、ちょっと落ち着け。」
「これでも落ちついてる方。抑えてる方!今すぐにでも抱きしめたかったし!」
「……お前、今夜ちゃんと順序踏めよ?」
「……もう一回教えてくんねぇ?」
「言われなくてもそのつもりだから!!ほら行くぞ。」
この会話を恋が知る日は来ないであろう。
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