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episode.22 好きなの?
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〜翔也side〜
9月28日木曜日 13時
「はぁー……」
翔也は琉と恋の家に来ていた。恋は仕事に行ったらしく、今日は夕方には帰ってくるという。
「どうしたのさ、そんなため息ついちゃって。」
「いやぁ……最近、恋とエッチしてない。」
「んぶふっ!」
琉らしからぬことを言うものだから、翔也は飲んでいたコーヒーを吹き出した。
「あ!バカ汚ねえな!」
テーブルに撒き散らされたコーヒーを琉が拭き取る。
「悪い。」
翔也はゴホン、と咳払いをした。
「突然お前が変なこと言うから……」
「だって……知ってた?!ラブシーンの撮影、意外とすぐなんだが?!」
「そっちかよ……」
「なんだと思った?」
「恋くんが好きすぎてエッチしないと辛い的なことかと。」
「それもある。でも恋は仕事でもヤってるだろ?体の負担でかいかなって思って。そこは理解してるつもりだし。」
「で、お前どうなの?」
「なにが?」
「好きなの?」
「……?好きだけど?」
「じゃなくて。"青木恋の恋人役の赤津琉"じゃなくてただの赤津琉として答えてよ。」
そう言われて、琉は少し考えこむ。
「……わかんねえ。」
「なんだそれ。」
「今、どこまで演技でどこまで本心なのかわかんねえんだよ。」
「やっぱお前のめりこんじゃってるじゃん……」
「自分でも思ってるよ……」
2人してため息をつく。
琉だってわかっているのだろう。今の状態は中途半端なのだ。
「でも、いくら契約とはいえ、お前よく我慢できるよなぁ。」
「なにが?」
「彼女?彼氏?が他の男とヤってるの。」
「仕事だし仕方ないだろ。」
「それでも多少なりと嫉妬したりするじゃん、普通。」
「んー……まあそんなにAV男優って感じたことないんだよな、実は。」
「え、ヤり慣れてる感ないの?」
翔也はそう聞いてから、"あ、それはないわ"と思いなおした。
「ない。」
「だよね。俺も聞いてから思ったわ。あの日声だだ漏れだったし。」
「やめろ、恥ずかしい。」
「キスマークとかないわけ?俺そんなん見たら腹立って乱暴にしちゃいそう。」
「キスマーク見たことない。明希くんによるとキスマークだけはつけられないように気をつけてるらしい。」
「へぇー。じゃああんまり実感することないのか。」
「今んとこね。」
今後ないとは言いきらない琉。
嫉妬する可能性もあるのだろうか。
「あ、全然関係ないけど、今度もんぶらんのメンバーでまたどっか行こうよ。」
"もんぶらん"というのは、琉、恋、翔也、明希の4人のLINEグループの名前で、翔也が気分でつけたものだ。
「あー、夏以来どこも行ってねえしな。」
「まあ休みが合うかどうかってとこだけど。俺たちはいいとして、明希ちゃんと恋くんと合うのかだよね。」
「グループに投げかけとけばそのうち合うだろ。」
「んじゃあとで声かけとく。」
「頼んだー。」
「あ、俺そろそろ帰る。明希ちゃんと約束の時間だからー。」
スマホの画面で時間をチェックして、帰り支度を始める。
何度かLINEをやり取りして、明希と2人きりのデートにやっとこぎ着けた。
「お前最近明希くんと仲良いな。」
「ん?まあ俺がアプローチしてるだけだけど。」
「この前みたいに焦るなよ?」
「わかってるって。今は普通の友達のつもりだし。」
「今日はどこ行くの?」
琉が玄関のところまでついてきてくれた。
「モールでショッピングして、飯食って家まで送る。」
「ふーん……ってえ?!家まで送るの?」
「そ。どさくさに紛れて家を知りに行く作戦だ!」
「……明希くんってガード固そうだけど……まあ頑張れ。」
「おっしゃ行ってくる!」
「あ、待って翔也!」
スマホのバイブ音に反応し、メッセージを開いた琉が翔也を呼び止める。
「ん?」
「恋から、今日よかったら家で食事しないか聞いてくれって。」
「まじ?!え、超嬉しい!!!明希ちゃん絶対喜ぶし、ぜひって言って!」
「了解。んじゃ時間とかまたLINEするから。行かないと遅れるだろ?」
「うん!ありがとう。またあとでな。」
翔也は家を出た。
この後、翔也と明希の関係を大きく変える出来事があるとも知らずに。
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