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episode.23 UH
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〜翔也side〜
「あーきちゃん!待った?」
「いえ!俺もさっき来たばっかりです。」
モールの近くで待ち合わせた翔也と明希。
明希は紺色のポロシャツに白いチノパン、スニーカーで、翔也は思わず可愛いと思ってしまった。
いや、普通の服装のはずなのだが、明希が着ているとどうも可愛く見える。
翔也は変装のためもあり、メガネと帽子は外せない。
「その帽子、オシャレですね!」
「そう?」
翔也が被っているのはストローハットだ。
「はい!木之本さん、背高いからいろんな服似合っていいですよね。」
翔也と明希は歩き出す。
翔也は明希は何を着ても可愛いと言いたくなったが、それは褒め言葉ではない気がして、それも彼氏でもない自分に可愛いなどと言われても嬉しくはないだろうと思い、言うのはやめた。
「どっか見たいお店ある?」
「え、俺はいいです。特に欲しいものもないですし。」
「んー……じゃあ、ちょっと付き合ってくれる?」
「はい。」
翔也は明希を靴屋に連れて行く。
看板にはSHOES Aと書いてある。ここは翔也の行きつけだった。
「え、き、木之本さん……こ、ここ入るんですか?」
明希は明らかに嫌そうな反応を見せた。
「ん?ここ俺の行きつけなんだけど……靴屋苦手?」
「あ、いや……そうじゃないんですけど……」
どう見ても明希はここにいるのを嫌がっている。翔也は事情を聞きたかったがそれはやめ、別の場所に行くことにした。
「じゃ、別のとこ行こっか!」
「え……」
「せっかく2人で来たんだし、明希ちゃんにも楽しんでもらわなきゃ意味ないし。」
翔也がそういうと、明希は少しホッとした顔を見せた。
思えばこの時から少し明希の様子がおかしかったのだ。それに気づくべきだった。
明希が何かを嫌がったりするのを、この2ヶ月で見たことはなかった。しかし翔也は何か事情があるのだろうと考え、それならそれを深く聞くのはあまり良くないと考えた。
「あ、明希ちゃん、今日夜まで予定空けてくれたんだよね?」
「はい。」
「さっき琉と会ってきたんだけど、恋くんと琉が、家でご飯食べないかって誘ってくれたんだ。行くって返事しちゃったけどよかった?」
「はい!恋の手料理美味しいんだよなぁ!」
(よかった……表情戻った。)
明希の顔がパアッと明るくなり、翔也はホッとする。
「恋の手料理食べたことあります?」
「琉の弁当つまみ食いしたことはあるよ!めちゃくちゃうまかった!!琉は料理へったくそだからさぁ!」
「あはは!でも恋から聞いた話だと赤津さんの料理、上手くなってきてるらしいですよ!」
「んじゃ今夜は期待しちゃうなぁ。」
翔也はそう言って笑う。
「あ、何時頃約束したんですか?」
「あ、そうだ、LINE送るって言ってた。」
翔也はスマホを取り出す。
通知は、琉【もんぶらん】になっていた。
「もんぶらんに来てるわ。」
明希もそれを聞いてスマホを取り出した。
<もんぶらん(4)>
琉「今夜は19時に家で〜」
恋「え、18時とかでいいんじゃないですか?俺今日の帰り早くなりそうなんです」
琉「あ、まじで?でも料理準備したりするだろ?」
恋「あー…確かに…それじゃ19時で」
琉「つーことで2人ともよろしく」
翔也「りょ」
明希「了解です」
「……なんかさ、恋くんと琉が連続して話してると面白くない?」
「わかります。」
明希はクスクスと笑う。
今、恋と琉のトプ画はいわゆるペア画というやつなのだ。琉が男の方、恋が女の方の画像で、交互に話すとそのトプ画が交互に現れ、それが面白いのだ。
「てか明希ちゃんのトプ画もかわいいよねー。」
明希のトプ画は猫だ。
「近所の猫なんです。木之本さんの犬は飼ってる犬ですか?」
「違うよ、実家にいる犬!めっちゃ可愛い。帰るたびに癒されてる。」
「いいなぁ!俺も動物飼いたい……」
明希が少ししょぼんとしているのが可愛くて、翔也は思わず笑う。
「どうしたんですか?」
「なんでもないよ!あ、ここ、俺のオススメのお店なんだけど!」
「木之本さん、靴好きなんですね。」
明希はそう言ってクスクスと笑う。
「いい靴はいい場所に連れて行くとかいうのを20年前くらいの恋愛ドラマで綺麗な女の人が言っててさ!それが忘れられなくて靴にはこだわっちゃうんだよね。あと俺の親父が警察官で、昔から履き潰された革靴とか見てたから、なんか靴には思い入れあるっていうか。」
翔也はそう言って笑う。
「まあ靴だけじゃなくて洋服とかも好きなんだけど、UHの経営するお店が結構好きかも。」
途中までニコニコしながら話を聞いていた明希だったが、UHと聞くと一瞬顔を歪めた。
UHというのはファッション業界では割と有名な企業だ。
「そうですか。俺はファッション系は詳しくないので。」
明希はそう言って笑って見せた。だが翔也は先ほどの明希の顔が、少し引っかかった。
(そういえばSHOES AもUHの経営する店だったような……)
「ほら、入りましょう!」
明希にそう言われてハッとした翔也は明希と一緒に靴屋に入った。
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