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episode.45 縮まる2人のキョリ
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それから、しばらくは調べても収穫もなく、恋から何かを聞き出すこともなく。
恋と琉の距離は確実に縮まっているものの、琉は、なんだか線引きをされている気がしていた。
「赤津さん。」
「ん?」
久しぶりの休みで、恋と一緒に過ごせることになった日は11月も末に入った頃だった。
ドラマ撮影が忙しく、顔も合わせられない日が続いていた。
「好きなものってなんですか?」
「どうした急に?」
恋が突然そんなことを聞いてきたものだから、琉は不思議に思った。
「なんとなくです。」
「食べ物はグラタン、飲み物は紅茶、動物は……うさぎ、かな?あとはなんだ……」
「なんでもいいのでもっと教えてください。」
やたらと琉の好きなものを知りたがる恋に変な感じを覚えつつ、琉は真面目に答える。
「んー、季節は冬が好き。色は名前に入ってるから赤が好きだなぁ。花とか結構好きだなー。」
「なんの花が好きですか?」
「薔薇とか、綺麗なだけじゃなくて棘あるのがなんかいいよな。かすみ草とかも好きだぞ。」
「あとは?」
「えぇ……曲は結構なんでも好きだし……自然系は割となんでも好きだし……」
恋も好き。
そう言いたかったが、言えなかった。
また今月も、お金で恋の恋人役を買っている。恋はそこを譲ろうとしない。これが、琉が線引きされていると感じる理由でもある。
「海とか山とかですか?」
「ん、まあそうだな。」
考え事をしていたせいでそっけない返しになってしまったが、恋はあまり気にしていないようだ。
「赤津さん、オシャレですけど、服とかはどうしてるんですか?」
「んー、いつも翔也と一緒に買いに行くから、割と翔也に任せっぱなし。」
「……木之本さんと本当に仲いいんですね。」
琉にはその時の恋の顔が、嬉しそうな寂しそうな、そんな顔に見えた。
「恋だって明希くんと仲いいだろ?この前翔也が、"明希ちゃんにとっての恋くんには勝てないー"とか言ってたぞ。」
琉はそう言って笑う。恋も笑った。
「ま、明希くんもちゃんと、翔也と向き合えてるみたいで良かった。」
「はい。俺も安心してます。」
「俺は恋とも向き合いたいんだけどー?」
琉は精一杯、自分がこの恋を契約ではないものにしたいと思っている、という含みをもたせた。
「……向き合うとは?」
だが恋には軽くスルーされた。
「ま、いろいろ、だな。簡単に言えば少しは頼ってほしいってことだよ。」
琉はそう言って恋の頭をポンポンと撫でる。
「……赤津さんって、それ好きですよね。」
「ん?んー、なんか、恋だから、撫でたくなるっつーか。」
思わず本音がこぼれ出た。
「な、なんですかそれ……」
この時、恋の頬が赤かったように見えたのは、気のせいだろうか。
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