アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
episode.46 もう少しだけ
-
12月21日 事故の5日前。
「なぁぁ、れーーんーーー。」
「なんですか。」
恋はスマホとにらめっこ。最近ずっとこうだ。
「スマホ見てないでたまには構えよ。」
「今は忙しいんです。」
「ひっでぇ……」
「あ……じゃあ24日、何食べたいか考えといてください。」
「お、クリスマスパーティーやるんだっけ。」
「そうですよ。木之本さんがチキン食べたいって言ってたので、それは作ろうと思いますが……あとは考えてないので、好きなもの、考えてください。」
「それこそグラタンがいいな。すっかり冬だし、年も暮れだ……」
「何おじいちゃんみたいなこと言ってるんですか。」
恋はそう言ってクスクス笑う。
「グラタン、ダメ?」
「いいですよー。明希はどうせケーキ!って言ってくるだろうからバランスいいですね。」
「……恋最近何隠してるの?」
ふと、琉は思ったことを口に出す。
恋はギクリとした顔をした。
「な、なんでもないです。」
「なんでもなくないだろー?何隠してんの?キスマーク?」
「はぁ?!違いますよ!あれ以来キスマークなんてつけられてません。」
琉は冗談で言ったつもりだったのだが、本気で返してきた恋におもわず笑ってしまう。
「もう、邪魔しないでください。4日後にわかりますから。」
「なんで4日後?なんかあるの?」
恋はこれを聞いてポカンとした。
だがすぐに状況を理解したようで、ため息をつく。
そう、琉は誕生日のことはすっかり忘れていたのだ。
「……まあいいんですよ。4日待ってください。」
「……?わかった。」
恋はまたスマホとにらめっこを始める。
「……なぁ恋。」
「なんですか。」
恋はスマホから顔を上げずに答える。
「こっち向いて。」
「なんでですか?」
「いいからこっち向けって。」
「わかりましたよ、なんです……!」
琉は顔を向けた恋の顎を掴まえ、唇を重ねる。
優しく、触れるだけのキスから徐々に舌を絡める深いキスになる。
「ん……ふぅ、んっ、ん……」
恋の顎から手を離し、後頭部を掴むと、さらに深く舌を絡める。
恋の声がだんだんと甘いものになっていく。
「ん……んっ、ん……」
唇を離すと透明な糸が2人の唇をつなぎ、恋の口の端からは唾液が溢れていた。
「トロけちゃって。」
「赤津さんが……き、す、するから……」
恋は顔を真っ赤にしてそう言った。
琉は恋をソファに押し倒し、またキスをする。
「ん、んっ……んんっ、ン……」
(なぁ恋……契約が終わったら、離れていくのかよ……)
「あ、かふ……はんっ、んっ、くるひっ……」
琉は唇を離すと、恋がその場にいることを確かめるように、首筋から、服を捲り上げて全身にキスをしていく。
「ンぁっ、んっ……」
(……クソ、好きって言う勇気もねえ。)
「あか、つさん……シ、て……?」
「……っ煽りやがって。」
ダメだとわかっていながら、言わなければならないとわかっていながら、琉は今の関係が壊れるのが怖かった。
まっすぐに、好きだと伝えたい。
だが、それで恋が離れていってしまうのが嫌だった。
(少しだけ……あともう少しだけ……)
契約している間は、恋は自分の恋人。
ドラマが終わるまでだとしても、でも、もう少しだけ。
愛を買わせてほしい。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
53 / 832