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episode.52 好き
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※回想続きます。
12月24日 23時45分
「てかなんで俺まで……」
「ひとりじゃ、無理……」
恋は顔を真っ赤に染める。明希でも可愛いと思ってしまうような姿に、これは、今夜は寝かせてもらえないんだろうなどと考え、クスクスと笑ってしまう。
「……だからってなんで俺は猫耳なの?!」
「木之本さんが、犬と猫好きだって聞いて……」
「恋……お前なぁ……」
「ちゃんと好きっていえよ……」
「そりゃ好きって言えたら……どんなにいいか……」
「……俺より、言いやすいだろ。」
「え……」
恋の言葉に明希は固まる。
「……俺、赤津さんが、すき……」
消え入りそうな声で、でも確かに恋は、好きだと言った。
「まじか。」
恋はこくりと頷く。
「い、言いなよ!!それこそ最高の誕生日プレゼントじゃないの?!」
恋は首を横に振る。
「あの人は、演技にのめり込んでるだけだから……あの人は俺のこと、好きじゃない……」
恋は寂しそうな顔をしてそう言った。
「俺はあの人のこと何も知らない。いや、知りたいって思ってなかった。プライベートに踏み込むのはなしって言ったのは俺だ……」
「恋……」
「今更、言えない……本当に好きになってしまった、なんて……契約で、恋愛してるんだ。契約が終われば、赤津さんはいなくなる……」
「でも……」
"赤津さんは本当に恋を愛してくれてる"
そう言いかけて、やめた。
恋がそれを信じるだろうか。
恋は、忘れてしまっている。愛されるということを。
もうずっと昔に失ってしまった。
自分がどんなに言葉で言ったって、赤津からもらえる、好きという一言より大きなものはない。
「……自分が悪いんだ。でも、今の関係だけでも、なくしたくない……せめて契約の間だけでも、そばにいたい……」
「恋……言いなよ?26日は2人でデートでしょ?26日に言いなよ。」
「でもっ……」
「……絶対後悔するよ?言わないと。」
「……言えるかな……?」
「大丈夫だよ。絶対。」
「……本当に?」
「言って後悔するほうが、言わないで後悔するより、ずっとずっといいと思う。俺も、言うから。」
「え……」
「やっぱり、言いたいじゃん?俺も……ちゃんと木之本さんと向き合いたい……本当に好きになったんだ。好きだって……言いたいよ。」
「……わかった。俺、言う……」
「うん。」
その時だ。扉がノックされた。
「あ、と、もうちょっと待ってくださいっ!」
「まだダメですからね?!」
2人は慌てて途中だった準備を再開する。
「おーい、大丈夫かー?」
赤津が外から呼びかけてくる。
「………………どうぞ!」
2人は入ってくると、入り口で固まった。
「「……え?」」
「ほーら、恋!」
明希は恋の背中を押す。
「え、と、あ、の……ぉ……誕生日、おめでとうございますっ……!」
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