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episode.55 誰?
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〜翔也side〜
「寝ちゃった……か。」
翔也は明希の髪をサラッと搔き上げる。
恋の病室にはベッドが一つ付いていて、付き添い者が泊まれるようになっている。明希はそこに寝かせた。
つい先ほどまで泣いていたせいで、明希の目は少し赤い。
やっと、やっと伝えることができた。
好き
たった二文字がなかなか言えなかった。
まさか明希からその言葉を聞けるとは思っていなかった。
恋が事故に遭い、相当不安だったのだろう。
(これで……恋くんが目覚めて、琉もちゃんと伝えられたら……本当に万々歳なんだよなぁ。)
翔也は明希の頭を撫でながらそんなことを考え、うとうとと微睡み始めた。
*
(……完全に朝だ。)
次に翔也が目を覚ました時には、もう日が昇っていた。
明希はまだ眠っている。
(寝かせとくか。)
翔也はそっと明希の元を離れ、隣の恋のベッドの方に向く。
(こちらもまだ眠ってる……と。)
翔也はスマホを取り出し、母親に連絡を入れた。入院患者には何が必要なのかということを聞くためだ。
前に弟の貴也(たかや)がサッカーで骨折して入院したことがあった。少なくともここにいる3人よりはわかるだろう。
翔也はスマホをしまい、ベッドの隣に腰掛けた。
その時だ。恋が目を開けた。
「恋くん?!」
翔也はナースコールを押した。
思わず声を上げてしまい、その声に明希も目を覚ました。
「……ん?木之本さん……?」
「明希ちゃん、明希ちゃんはここにいて!俺は琉呼んでくるから!」
翔也が琉を連れて戻ってきたとき、看護師も入ってきた。
「青木さーん、わかりますか?青木さん。」
「恋!」
琉も声を上げる。
「……誰……?」
「え……?」
恋の言葉に、翔也は目を見開く。
「……明希、この人たち……誰?」
その言葉を聞いた看護師は慌てて病室を出て行った。
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