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episode.62 年越し
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〜恋side〜
12月31日23時55分。
「年越しだなぁ。」
「だな。」
恋と明希は病室にあるテレビで赤津と木之本が揃って出演している年末特番を見ていた。
番組内で生で年越し、そのまま年始特番へと早変わり、というものだ。
ベッドの隣には昨日、赤津が持ってきてくれた青いカーネーションが飾ってある。
(わざわざ花言葉まで説明されたし……)
恋は思い出して少し恥ずかしくなった。
それを誤魔化すように口を開く。
「あと5分で2030年も終わりか。」
「だねぇ……2031年はどんな年になるかねぇ。」
「明希と木之本さんの結婚記念日ができる年。そんで芸能ニュースを騒がす年。」
「はぁぁぁ?!なんでそうなるし!」
「結婚しないの?」
「うぐ……」
「そういえば、男性妊娠も可能になったらしいじゃん。子供欲しいとかはないの?」
「そ、そこまで考えてないし!」
顔を真っ赤に染め上げた明希を見て恋はクスクスと笑う。
「恋こそ赤津さんとはどうすんだよ。」
「……正直まだよくわかんないよ。俺が忘れてる半年の間に何があったかとかよくわかんないし。改めて意識してとか言われても、あれからそんなに赤津さんと会えてないし。」
「……あー、じれったい!本当にじれったい!!!なんなの!!」
「……病院で叫ぶなって。」
「好きになりそう?」
「え……」
そう言われると、不思議なもので、赤津といるのは安心するし、心地よかった。
頭を撫でられれば嬉しかったし、胸がキュッとなったりもした。
この感情を、何と形容すればいいのか、恋にはわからなかった。
「……わかんないけど、嫌いじゃない。」
「ふぅーん、そっかぁ。」
何やら明希がニヤニヤとしている。
「なんだよ、ニヤけて。」
「なんでもなーい!ほら、カウントダウンだよー!」
「はいはい。」
テレビ画面で赤津、木之本を含めた出演者たちが30からカウントをしていく。
「20、19、18、17……」
アナウンサーがカウントしているのを、なんとなく眺める。
「15、14、13……」
明希も楽しそうにカウントダウンしている。
あと10秒で1年がまた終わろうとしている。
そしてまた。
「3、2、1……ハッピーニューイヤー!!」
「ん、あけましておめでとう。」
新しい1年が始まろうとしていた。
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