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episode.64 どちらの味方?
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〜紘side〜
「……なるほど。わかりました。」
紘は自分が知っている限りのことを話した。
千秋は少し間をおいてそう答えると部屋を出ようと踵を返す。
「待て。なぜこの話を聞いた?」
「紘さんは、俊蔵様をかばいますか?」
千秋は質問には答えず、紘にそう問うてきた。
(どういう意味だ……?ここで答えを間違えたら終わりだ……)
「どういう意味だ?」
「そのままの意味ですけど。まあいいです。僕は俊蔵様を憎んでいます。」
なんということだろうか。
千秋は堂々と俊蔵を嫌だと言っている。
「これを聞いた上で、もう一度お聞きします。紘さんは、俊蔵様をかばいますか?」
そう問われれば、紘の答えは決まっていた。
「かばう気はない。逆らえないだけだ。」
「そうですか。僕が青木家の話を聞いたのは、俊蔵様を失脚させるためです。僕が真澄様の養子になったのも、すべては俊蔵様の失脚のため。そのためです。」
千秋は淡々と述べていく。
「それで、何か作戦でもあるのか?父上は警視総監だ。簡単に失脚させることはできない。」
「それはわかっています。もっと証拠も必要ですしね。紘さんは、知らないんですね?」
何をだろう、と紘は思った。
自分は何を知らないというのか?
「そっか。紘さんは本当にただの経理なんですね。」
なんのことを話しているのか、紘にはさっぱりわからない。
「まあいいです。そのうちわかりますから。それで、紘さんはどうします?僕の味方?それとも俊蔵様の味方?」
千秋はまっすぐに紘を見つめてきた。
「……わかった、お前に手を貸す。だが、やるからには徹底的に。証拠は細かく揃えて、作戦を練る。でないと俺たちの命もない。」
「わかってます。まあ僕の命なんて軽いもんですけどね。」
千秋はそう言って切なげに微笑んだ。
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