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episode.66 俊蔵の暴走
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〜紘side〜
12月27日
紘のもとに様々な情報が舞い込んだのはそれから2日後のことだった。
「恋さんは一命を取り留めたようです。」
「よかった……」
「レントラント王国の方は何かわかりましたか?」
「どうやら父上はもう随分前からレントラント王国の軍参謀長、マキシム・ザハカルトという男と繋がりがあったらしい。」
「マキシム・ザハカルト……?」
「目的のためならば手段を選ばない。冷酷非道な参謀長とあだ名されている。」
「俊蔵様と同じですね。それで?」
「レントラント王国と、相手のローデンス国には日本にない性概念がある。」
「バース性ですね?」
「あぁ。父上はそのバース性の、Ωという性の何かを利用しようとしているのかもしれない。遺伝子的に言うならば日本にも概念自体は存在しているから…もしかしたら恋は、Ωという性の遺伝子を持っているのかも。」
「それで、レントラント王国をけしかけて、ローデンス国のΩの誰かを狙っていると?」
「詳しい思惑はわからない。ただ単純にΩ狩りということもあるらしい。」
「Ω狩り?」
「Ωという性の人間を強姦する。レントラント王国ではよくあることだ。ローデンス国ではそういうことはないがな。」
「なるほど……これはまた面倒なことになりましたね……」
「ローデンス国に知り合いがいないから、ローデンス国としてはどう考えているのかもわからない。」
「今はこちらでやれることをやるしかなさそうですね。」
「あぁ。だが確実に、レントラント王国との癒着を摘発できれば、間違いなく父上は失脚する。」
「そうですね……しかし、今この間は恋さんの事故についての証拠を集めます。」
2人は頷いて部屋の外に出る。
すると怒鳴り声が聞こえてきた。
「ふざけるな!殺り損ねただと?!どうするつもりだ!!!」
恋が生きていると知って、俊蔵が怒っているらしい。
紘と千秋は少し部屋に近づき、耳をすませる。
「仕方ない。笹倉傑について調べておけ。」
(笹倉傑……?)
「死なないのならば、自ら死を選ばせてやる。」
紘と千秋は顔を見合わせ、その場を離れる。
「どういう意味でしょうか。」
「……わからない。笹倉傑って、確か恋と同じ中学のやつだったはず……」
「なんにしても恋さんにはあまりいいことではないのは間違いありません。」
「少し計画を急ごう。」
俊蔵の暴走が、始まろうとしていた。
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