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episode.68 退院
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〜琉side〜
1月12日
「怪我はあとは通院でなんとかなるでしょうし、退院しても結構ですよ。」
担当医の零が琉にそう告げてきた。
琉はそれを伝えるため、恋の病室に向かう。
翔也は夕方まで撮影、明希も新学期が始まり、昼までは講義だった。
一方の琉は昼からドラマ撮影のため明希と入れ違い。
「恋、入るぞ。」
「はい。」
恋は病室で本を読んでいた。
「鈴木先生が、あとは通院でなんとかなるから退院してもいいってよ。」
「そうですか……」
「あんま嬉しくなさそうだな?」
「え、いや……みんなと会えなくなっちゃうかなって……」
(……何それ可愛い。そういえば同棲の話してなかったか。)
「あー、忘れてたけど、俺たち同棲してるからな?」
「え……え?!」
「うん、ごめん。普通に言い忘れてた。あと明希くんと翔也も明希くんの家で同棲中だから。」
「え、そうなんですか。」
恋は途端に顔を真っ赤に染め上げる。
(……記憶戻るまで俺は耐えられるのかな。)
「な、なんか、すいません……その、会いたいみたいなこと言っちゃって……」
(……可愛いな。)
「いいんだよ。俺は恋の恋人なんだし、恋はもっとワガママ言っていいの。」
そう言って琉はポンと頭を撫でた。
「退院明日になるけど、いい?」
「はい。」
「俺明日は仕事だから、翔也と瑞貴さんが来てくれるからな。」
「そうなんですか……」
「家に帰ったら恋がいると思ったら仕事頑張れそう。」
琉がそう言って微笑むと、恋は目を伏せた。
(……意識、してくれてるんだなぁ。)
琉は嬉しくなってまた微笑む。
だが、恋がそういう反応を見せてくれるたびに、寂しい気持ちにもなる。
今の恋には、過ごした半年間の記憶はなくて。
(恋……好きだよ。)
気持ちを伝えることもできなくて。
でも琉は恋をみて微笑むことしかしなかった。
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