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episode.84 俊蔵の陰謀
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※「もう一度、僕を呼んで」のepisode.15、15-2とリンクしています。
〜琉side〜
恋たちが上に行ってすぐのこと。
「一体どうしたんですか?」
話を切り出したのは琉だった。
「少し気になることがあってな。」
「なんですか?」
「……烏沢財閥のことだ。」
ジルの口からその名が出てくるとは思わなかった琉と翔也は顔を見合わせる。
「日本人の君たちから、何か話を聞けないかと思ってな。あまりこちらに情報がなくてだな……」
そう言うジルは、烏沢財閥をどのくらい知っているのか。
「ジル王子たちは、どのくらい知ってるのですか?」
「そうだな、こちらに来て名前を聞いたくらいだ。なんでも日本の裏社会を牛耳ってるとか。」
「それは一体誰から……」
「私が、政府関係者から聞きました。」
琉の問いにはレイが答えた。
「なぜ、その話を?」
「実は先日、ローデンス国に、レントラント王国から宣戦布告があり、そこで王国軍の参謀長が意味深な発言をしておりまして、そのことを報告したところ、そのお話が聞けました。」
(※レントラント王国→ローデンス国にほど近い小さな島国)
「ちょ、ちょっと待ってください。意味深な発言ってなんですか?」
「"私を倒して終わりだと思うな。お前たちはまだ本当の敵を知らないんだ。お前たちはこの裏に誰が付いているか知らない。レントラントだけだと思うな。そのうち莫大な支援が入る"だってさ。」
翔也が聞くと、ハルがそう答えた。
「それと、烏沢財閥が何か関係があるのですか?」
「レントラント王国は、ローデンス国と同じく、日本と交易を行っている。……が、レントラント王国の場合はローデンス国とは異なり、裏社会での交易。」
ハルの言い方からして、琉はピンときた。
「……つまりあなた方は、支援者が烏沢財閥であると、考えているのですね?」
「そういうことだ。」
「烏沢財閥って、外国にまで手出してたのか?」
翔也が驚きの声を上げる。
「みたいだな。」
「何か知っていることはないか?」
(知っていることもなにも……)
「恋の事故は、烏沢財閥が仕組んだものです。」
「なんだって?」
ジルは思ってもみない言葉に驚いたようだった。
「……なんかここまでくると、全部仕組まれてる気がしてくるよね。今回4人が連れ去られたのも、ジル王子たちの反応を見るためなんじゃないかな、とか。」
翔也がそう言う。
「……だとしたら面倒なことになったかもしれないぞ。」
「もう少し詳しく説明してくれないか?」
ジルにそう言われ、琉は今まで調べてきたことや、恋の置かれている状況を説明した。
「なんてことだ……」
「そんなことがあるんですね……」
「信じらんないな……」
日本語を話せるジル、レイ、ハルはそれぞれ反応を見せ、トム、アレン、リヴィも顔を歪める。
「トシゾウ・カラスザワ……か。少し警戒する必要がありそうだな。」
「俺たちももう少し警戒する必要があるかもしれないな……」
「全くだね……多分、恋くんが生きてるのはもうバレてるし、ローデンス国とも関わったと知れたら……」
「レンの命が心配だな……」
「我々で何かできることはありませんか?」
ジルとレイが心配そうな表情を浮かべる。
「え、でも……」
「これも何かの縁だ。立場は気にせず仲良くなりたい。」
「そういうことでしたら……」
「敬語はやめよう。本来俺が敬語を使うべきなのだが……」
ジルは琉たちより年下だ。
「……それは困るかも。」
翔也が笑ってそういう。
「仲良くできるおにーさんが増えたみたいー!」
ハルは無邪気に喜んでいる。
「まあ、恋たちも仲良くやってるだろうし、俺たちも仲良くしたいところですね。」
「まずは連絡先からだな。何かあった時すぐに知らせてくれ。ローデンス国内からでも対応が取れれば手を貸そう。」
俊蔵の陰謀に巻き込まれた琉たちの反撃は、まだ始まったばかりだった。
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