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episode.89 共闘
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〜紘side〜
「本当の名前は松宮千秋です。」
「……松宮……?」
「……!9年前に、放火された家の……?!」
琉は首をかしげ、翔也は驚きの声を上げた。
紘は思い出した。確かにそんな事件があった。
それも俊蔵が手を染めたものだ。
たしか、松宮の家の夫妻は。
「警察官の、松宮さんだよね?!」
「そうです。」
「知ってるのか?」
「知ってるも何も!恋くんの親と繋がってた警察官だし、俺の父さんがまだ下っ端だった頃、指導してくれた人だったって聞いてる。」
翔也が琉にそう説明した。
「その証拠でも見せましょうか。」
千秋はそう言うとためらいなくジャケットとシャツを脱いだ。
その白い背中には斜めに赤黒く、大きな火傷の痕が残っていた。
「僕は、顔は整形しましたから、顔を見ても誰もわからないでしょう。でもこの傷は、消せなかった。聖川というのは親戚に養子にとられた時の名前です。烏沢の名前になるのが嫌で、今でも戸籍は親戚の養子です。」
千秋はそう言うとさっさとシャツとジャケットを着る。
「……まだ信じられませんか。」
「疑って悪かった。信じる。」
「それでは、手を貸して頂けますね。」
「わかった。」
「情報の送信はこのパソコンに。何か怪しい動きがあればこちらからもお伝えします。」
琉は紘の言葉に頷く。
「そうか……松宮さんのとこの……妹さんは……?」
翔也は千秋の方を見て、眉をハの字に下げる。
「……僕しか助かりませんでした。」
「そっか……俺の父さんは、松宮さんのおかげで警視正になったからなぁ……松宮さんがいなかったら、刑事やめてたって言ってたよ。」
「え……そうなんですか?」
「うん。絶対、烏沢俊蔵に法の裁きを受けさせよう。」
「あたりまえだろ。」
翔也と琉は一段と気合が入ったようだった。
この数日後、ローデンス国のジル王子の頑張りのおかげで、レントラント王国との癒着の証拠が手に入り、4人は摘発に向けた準備を進めていくことになった。
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