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episode.91 嫌悪感
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〜恋side〜
1月28日
木之本の婚約発表から3日が経った。
この日、恋は久しぶりにLOVECENTERに顔を出した。
「ご迷惑おかけしました。」
「いやいや!もう怪我は大丈夫なの?」
「まあ、リハビリしてだいぶ良くなりました。」
「それはよかった!やっぱり恋くんの人気はすごくてねえ!社長からも恋くんを出してくれって言われてね。」
「そうですか。」
「それじゃ、今日は軽めので。まあただのラブラブなエッチだから、適当に喘いでくれればいいよ。」
恋はそう言われてスタジオに通される。
さっさと服を脱いでベッドに寝転がると、何だか不思議な感じがした。
抱かれたくないのだ。
今までこんなことはなかった。これは仕事だと思っていた。
だが、今の恋は、知らない男に抱かれるのが嫌だった。
退院して以来初めてのセックスだ。赤津とは記憶が無くなる前はしていたらしいが、記憶が戻るまで手を出さない、と赤津は宣言してきた。
赤津にそう言われた時は、別に抱かれてもいいのに、などと思っていた恋だったが、今は確実に嫌悪だった。
「恋くん久しぶりだねー。んじゃ早速やろうか。」
相手の男は見覚えがあった。だがいつ会ったのか思い出せない。おそらく記憶のない半年間なのだろうと恋は思った。
「この前は媚薬で乱れてくれたからなぁ。今日も媚薬飲む?」
男は少し楽しそうにそう言う。
恋は媚薬を自分が飲んだことが信じられなかった。
「まあ、嫌だって言っても飲んでもらうけど?」
男はそう言うと小瓶を取り出し、液体を口に含むと恋に口付けしてきた。
「んんっ!!んくっ、んくっ……」
恋は口を塞がれ、思わずその液体を飲み込んでしまった。
「さて、それじゃあ始めようか。」
「はい、じゃーいくよー!3……2……」
監督からキューが出た時、体がドクン、と熱くなった。
「恋、触るよ。」
男は演技モードに入ったらしい。優しい手つきで恋の体中を触る。
「恋くんは可哀想だね……社長から聞いたよ?お金のためにこんな仕事してるんでしょ?俺が、恋くんのこと買ってあげようか?」
男は耳元に口を寄せると、カメラには入らないような小さな声でそう囁いた。
「い、やだ!!」
背筋が凍るような感覚を覚えた恋は、思わず相手の男優を突き飛ばしてしまった。
「カット!恋くん?どうした?大丈夫?」
「……っは、すみませんっ……」
「すごい汗だな…少し休んでからにする?」
「すみません、俺が媚薬飲ませちゃったんで。」
「あ、そうなの?それじゃあ媚薬ものにしちゃおっか。よし、再開するよー!」
再度監督からキューが出て、撮影が再開される。
「もうトロトロだね。」
男はそう言いながら恋の後孔をほぐしていく。
「ふっ……ぅ、あッ……ンッ……」
恋の体は快感が駆け巡っているのに、頭の中は嫌だという感情が埋め尽くす。
結局体には力が入らないため、そのまま撮影を続けられ、めちゃくちゃに感じさせられて撮影を終えた。
(なんだったんだろ……今日の……)
恋はシャワールームで頭からシャワーを浴びながら今日の嫌悪感を不思議に思っていた。
今までに感じたことのない感覚。
赤津でないと触られたくないとさえ思ってしまった。
(これが、人を好きになるって、ことなのかな……?)
恋はキュッとシャワーを止めると体を拭き、帰路についた。
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