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episode.113 花見
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※書き方元に戻ります。
〜琉side〜
4月1日 日曜日
珍しく仕事の休みが揃った琉と翔也、小雪。
その結果みんなでお花見に行こうという話になった。
「恋、お弁当できた?」
「はい。」
「琉さん早くー!」
3人揃って家を出る。近くの公園なので歩きだ。
外は暖かく、もうすっかり春の陽気だった。
琉には最近気になることがあった。
どうも恋の様子がおかしいことだ。
今も琉と小雪の後ろを歩き、並んでこようとしない。
だが時々見せる仕草がやたら可愛い。
琉には訳がわからなかった。
「あ、琉ー!こっちこっち!」
翔也が手招きして呼ぶ。
公園はかなり人がいて、賑わっている。
明希と千秋が挙動不審になっていて、怯えているのだろう。
「結構いいところ取れたのはいいんだけど、なにせ明希ちゃんと千秋ちゃんがこうでね。」
明希は翔也の背中にぴったり。千秋も紘の腕をぎゅっとつかんでいた。
「まあ、弁当は恋が作ってくれたし、飲み物も貴也くんが持ってきてくれるって言ってたよ。」
「貴也と明希ちゃんいつの間にか本当仲良いよね。ていうか千秋ちゃんと恋くんまで貴也と仲良くなってるしさ。」
「そうだな……そういえば、紘さん、仕事すいませんでした。」
「いや、そろそろ休暇を取らないといけなかったし、ちょうどよかったよ。」
紘は代表取締役として、忙しくしていた。
「明希さーん!!恋さーん!!千秋さーん!!!」
貴也が遠くから手を振っている。
「……あいつ本当薄情じゃない?兄貴の名前は全く呼ばないなんてさ!!」
「ほら、千秋、貴也くんがきたよ。」
千秋は紘のその言葉にちらりと指をさされた方を見やる。
そして知り合いを見つけたことにホッとしたのか、少し肩の力が抜けたようだった。
明希もそれは同じことで、貴也の姿を認めると、翔也の背中の陰から出てきた。
「あれ、やっぱお花見はきつかったですか?」
明希と千秋の様子を見た貴也はそう言う。
貴也は手話が読み取れても使えないので、千秋がわからなかった時は誰かが手話で伝えているが、大抵千秋は読唇できる。
"大丈夫。"
「でも顔色悪いし……てか明希さんは震えてるし……」
貴也は心配そうにそう言う。
「無理しないでいいんだよ?」
「え、やだ……お花見したいです、桜綺麗だし……」
翔也の言葉に、明希は首を振ってそう言った。
「そっか。じゃあせっかくだし楽しも?」
そう言って翔也は明希の頭を撫でる。
「ごちそうさまです。この環境俺にとって幸せすぎる。」
「なんで?」
「俺腐男子ですから。翔兄さんと明希さんでしょ?琉さんと恋さんでしょ?それから紘さんと千秋さん……あー、もう幸せすぎる。」
「お前本当落ち着けよ。」
翔也はいつも通りの呆れ顔だ。
「へー……でも、琉さんは、別に恋さんと付き合ってるわけじゃないんでしょ?」
小雪がそう言った時、貴也の表情が変わった。
琉はなんとなく嫌な予感がした。
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