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episode.115 ぬいぐるみ
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〜恋side〜
4月9日 15時
"「愛してる。愛してるよ。今も、これからも。」"
恋はテレビで、録画していた赤津の主演ドラマを見ていた。
恋たちの契約恋愛が始まるきっかけともなったこのドラマ。だいぶ人気だったが3月末に終わったのだった。
(そういえば結構記憶戻ってきたかも……)
恋は、赤津と旅行に行ったことまで思い出していた。
それと同時に思い出されたことは、赤津と体を重ねたこと。
「……う、恥ずかしい。」
恋は1人、家でつぶやいた。
「ただいまー。」
そこに赤津が帰宅する。今日は仕事が早く終わったらしい。
「おかえりなさい。」
「あれ、ドラマ見てたの?」
「はい。最終話、忙しくてずっと見てなかったので。」
「そっか……ねえ、恋。契約の内容、思い出したんだよね?」
「……はい。」
契約の内容は、ドラマが終わるまでの期間、恋人として過ごすこと。
ドラマはもう終わった。
「……まだ、契約して、くれない?」
赤津の言葉は予想外だった。
けれど恋としては願っても無い話だ。
まだ赤津と過ごしたい。恋人として過ごしたい。
それがたとえ契約でも。
「構わないですよ。俺は、赤津さんに任せますから。」
あくまで平静を装ってそう言うが、恋の胸はズキズキと痛んだ。
本当は違う。
契約ではなくて、本当に恋人になりたいのだ。
「あ、恋。今日はプレゼントがあるんだよね。」
「プレゼント、ですか?」
「そうそう。翔也と紘さんと買い物行ってさ……」
そう言いながら赤津が紙袋から取り出したのは少し大きめのウサギのぬいぐるみ。
「ぬいぐるみ……ですか?」
もふもふとした触り心地はとてもよく、恋は思わずぎゅっと抱きしめた。
「可愛いですね。」
「……それ、明希くんと千秋くんとお揃いだから。明希くんはネコで、千秋くんはクマな。」
赤津はなぜだか目をそらしながらそう言う。
「それ録音機能付いててさ、まあ使うこともないだろうけど、右の手のひら押して録音、左の手のひら押して再生なんだってさ。」
「へぇ……」
恋は触り心地に夢中で、あまり話が入ってこなかった。
そして、赤津が近づいてきたことも、気づかなかった。
「……?赤津さん?」
「……恋。」
ウサギを抱きしめる恋の目線の先に赤津の顔。
その顔はなんだかとても色っぽかった。
「恋。」
耳元に口を近づけられ、少し低い声でそう囁かれて、恋はぞくぞくとした。
そしてそのまま耳、首、鎖骨とキスを落としていく赤津。
恋はお腹のところでぎゅっとウサギを抱きしめる。
「っあ、だ、め……ですよ……こゆ、きさん……かえって、きちゃ、んっ……」
「大丈夫……今日はロケで帰ってこないよ……」
赤津はそう言いながら、チュッチュッと首元にキスを繰り返す。
「っん……」
恋の口からは艶やかな声が漏れる。
「恋……抱かせて……」
恋はそう言った赤津にソファに押し倒された。
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