アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
episode.132 誓い
-
〜明希side〜
「それでは只今より、木之本家と上原家の結婚式を執り行わさせていただきます。新郎、木之本翔也さんの入場です。」
会場から漏れる声を耳にしながら、明希は入場口に向かう。
隣には父の明利、後ろにはベール持ちの恋がいる。
「明希……幸せになりなさい。」
「父さん……」
明希の顔は、ベールがかかっていてあまり見えない。
後ろに伸びたベールを恋が持ち上げた。
「ありがとう……父さん。」
「それでは、新夫、上原明希さんの入場です。」
新婦ではなく新夫。男性同士の婚姻も当たり前になってきた今はよく知られた言葉だった。
よく聞く結婚式の音楽が流れる中、明希は明利の腕に手を添える。
「行くぞ、明希。」
ゆっくりとヴァージンロードを歩く。
拍手で迎えてくれる客の中には、琉、千秋、紘、小雪。
1番前の席には菜々子と利希、それから浩也、瑞貴と貴也。
そしてヴァージンロードの先には微笑む翔也。
明希はとても幸せな気持ちだった。
「翔也くん、明希を頼みます」
明利はいつかの言葉をもう一度言い、翔也に明希の手を預ける。
恋も席に着き、明利も1番前の席に座った。
拍手が止み、司会も一度席に戻り、誓いの儀式が始まる。
神父の言葉が続き、いよいよだ。
「汝、木之本翔也は、上原明希を伴侶とし、健やかなるときも病めるときも、富めるときも貧しきときも、死が二人を分かつまで、愛し合うと誓いますか?」
「はい、誓います。」
「汝、上原明希は、木之本翔也を伴侶とし、健やかなるときも病めるときも、富めるときも貧しきときも、死が二人を分かつまで、愛し合うと誓いますか?」
「はい、誓います。」
「指輪の交換を。」
用意された指輪はシルバーのシンプルなデザインのもの。
しかし、いざお互いに指にはめると、とても特別なものな気がした。
「それでは、新郎は新夫に誓いのキスを。」
明希のベールが捲られ、翔也と直接目が合う。
明希の頬はほんのり赤く、翔也は優しく微笑んだ。
そして優しく、明希の唇に、翔也の唇が重なる。
「一生大切にするから。」
唇を離すと、翔也は明希にそう言ってまた微笑んだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
160 / 832