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episode.141 お話1
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〜恋side〜
6月5日
「翔也さんお誕生日おめでとー!!」
明希たちが帰ってきて、翔也の誕生日を祝っていないということで、少々遅めではあるが今日は誕生日パーティーをすることになっていた。
「シャンパン飲む?」
「ん、飲むー。」
赤津の問いかけに翔也が答える。
「紘さんもそれでいいですか?」
「うん。ありがとう。」
いつの間にか紘と千秋も当たり前のように集まることになっている。
恋は千秋と紘を見ながら、何かが変なような気がして首を傾げた。
「恋?どうした?」
それを見た明希が声をかけてきた。
「いや……なんか千秋の様子が、ちょっと変だなぁって思ったんだけど……」
「んー……なんていうか、顔赤いね。」
「なんかあったのかな?」
「後で聞いてみよー?」
恋は明希の言葉に頷き、用意した料理を運ぶ。
「お注ぎしましょうか。」
「お、恋が注いでくれんの?」
赤津がそう言うが、恋は首を振る。
「いや、明希が。」
「はい?!」
「え、旦那の誕生日に旦那にお酌……いいじゃん?」
明希は恋の言葉に、ポポポッと顔を赤くする。
「明希くんって本当照れ屋だよなぁ。」
「可愛いでしょ。」
「はいはい。惚気は聞き飽きましたー。ほら、食うぞ。」
なんだかんだ言いながら明希は翔也にシャンパンを注ぎ、どさくさに紛れて小雪が赤津に注いでいたが恋は気にしないことにした。
料理も少なくなり、プレゼントもあげて、成人組と未成年組で分かれる。
成人組4人はまだシャンパンを飲んでいて、相変わらず小雪が紘や赤津に甘えているが、恋は見なかったことにする。
(嫉妬とか……何してんの俺……)
恋は片付けをしながらため息をつくと、後ろにいた千秋と明希からじぃっと見られた。
「……なによ?」
「なんか、恋が可愛いなって。」
"うんうん。嫉妬するなら自分も甘えてみればいいのに。"
「う、うるさいな。片付け手伝えよ……」
「もう終わるじゃん。」
明希はそう言いながらクスクス笑う。
皿洗いを終えて2人のところに向かう。
そして恋はずっと気になっていたことを切り出した。
「ねえ、千秋今日どうしたの?」
恋の言葉に、千秋は急に顔を赤くする。
何か思い出したのだろうか。
"……夢、を見た。明希の結婚式の夜に。"
「どんな夢?」
"…………紘さんに……抱かれる夢。"
「「ブッ…!はぁ?!」」
2人は飲んでいた紅茶でむせて、思わず叫ぶ。
「なんだ、どうした?」
「え、どうしたの?」
「大丈夫か?」
叫んだ2人を気にして、赤津、翔也、紘がこちらを見る。
「なんでもないです。失礼しました。」
千秋は顔を真っ赤にしているし、恋と明希も慌ててしまった。
向こうはあまり気づいてないらしく、すぐにまた向こうの話に戻った。
「……で?」
"……夢の中だから、声、ちゃんと聞こえて、ちゃんと話せた。紘さんが、好きって言ってくれた。"
((それ絶対夢じゃないよ……))
2人ともそう思ったが、とりあえず先を促す。
「そ、それで?」
"起きたら、また何も聞こえなくて、何も話せなかった。でも……これ……"
千秋がチラッと服をめくって見せてきたのは赤い痕。
キスマークだ。
「わお。」
"……夢、じゃなかったのかな?やたら腰も重かったし……でも、朝起きていたのはヒロさんだったし……"
ヒロ=紘にならない限り、千秋の誤解は解けなさそうだった。
「千秋は、紘さん好き?」
"ヒロさん?"
「ん、んー、どっちも?」
"ヒロさんは、好きだけど、紘さんとは違う……"
「千秋、どうして紘さんがいないと思うの?」
"紘さん、僕のせいで壊された。"
恋と明希はこの言葉に顔を見合わせる。
千秋が耳が聞こえないのは、紘がいないという事実を受け止めきれないからではないか。
だから、「夢」では、紘がいたから、耳が聞こえたのではないか。
そんな仮説が頭に思い浮かんだ。
「千秋、紘さんは、いるよ。」
"え?"
「絶対、そばにいるから。」
恋がそう言うと、千秋は不思議そうな顔をしていた。
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