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episode.146 お酒
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※「もう一度、僕を呼んで」のepisode.20-4とリンクしています。
〜琉side〜
琉は不機嫌だった。
目線の先には城の使用人たちと仲良く話している恋。
昼の観光は、紘が仕事だったため、小雪と千秋も連れて4人でだったのだ。
もちろん翔也と明希は2人で出かけたのだが。
それはそれで楽しかったし、とても良かった。
だが、今の状況は琉にとってあまり面白いものではなかった。
「不機嫌そうだな。」
ジルがそう言って近づいてきた。
「あ、ああ……」
「気持ちはわかる。ラズもそこにいるからな。」
ジルの言う通り、ラズと恋がひたすら絡まれているような状況。
小雪も方々から声をかけられているが、千秋にはハンスが付いていて近寄るなオーラを出している。
明希はクレアと話していて、その近くに翔也とリヴィが控えているから誰も近寄れないらしい。
「まあ、嫉妬もするが、俺は正直、ラズがみんなと仲良くなってくれるのも嬉しいからな。」
ジルはそう言いながらシャンパンを渡してきた。
「琉、顔が怖いぞ。」
紘がそう言ってきて、琉は思わずため息をつく。
「琉さぁーん!」
いつの間にか小雪が隣に来ていた。
「そういえばさぁ。考えてくれた?例の話。」
「今ここでしなくてもいいだろ?」
「だってもう、この旅行から帰ったらすぐなんだよ?出発は7日なんだから。」
「どうしたんだ?」
「実は、今度、僕ここに来ることになって!」
紘の問いに、小雪は大きな声でそう言う。
「ローデンスにか?」
本当は小雪は元いたところに戻る予定だったが、急遽変わったのだ。
「そうなんです!それで、琉さんも一緒にどうかな、って誘ってるんです!」
小雪の声に、恋がぴくっと体を震わせたのを琉は横目に見た。
「小雪。」
「海外進出か?」
紘がそう聞く。
「……まあ、俺はまだ決めてないですけど。」
翔也と明希も心配そうに様子を伺ってきた。
「……恋に、言ってたのか?」
紘が琉に耳打ちしてきた。
「言ってないです。」
琉がそう答えた時だった。
「じ、ジル様!!レン様が……!」
恋たちと話していた使用人の1人がジルを呼んだ。そしてラズの隣に真っ赤な顔をした恋がいる。
"ジル様……レン、間違ってお酒飲んじゃってて……"
「……酒?!」
"しかも……これ……"
「……今出してる酒の中で1番度数高い。」
ジルはため息をついてそう言った。
「……まじか。」
「恋、大丈夫?」
明希が様子を見に近寄る。
「らいじょーぶらよ……」
(……どこがだよ。)
「恋。」
「ふえ?あ、あかつしゃんら。」
「……リュウ、ラズがもともと使ってた部屋が空いている。好きに使ってくれ。中にシャワーもついてる。」
ジルは何かを察したのか琉にそう言った。
「ありがとう……恋、行くぞ。」
「え、なんれ?ろこいくの?」
「ラズ、案内してやってくれ。」
"わかりました。"
「らぁずぅ……ろこいくのぉ?」
(……ダメだ完全に酔ってる。)
"部屋だよ。リュウと一緒に部屋に行って。"
「んぅー……やら。あかつしゃんきらい。」
恋はぷくっと頬を膨らませて琉から顔を背ける。
「あかつしゃん、ろーでんしゅ、いっちゃうんらもん。おれ、なんも、きいれないしぃ……」
恋はむうっとしたままそう言う。
"だから……それについてはちゃんと話してからってさっきも言ったでしょう?ほら、レン。"
「むぅ……やら。」
「ったく……ラズ、ありがとう。もう戻っていい。」
"部屋……3階の1番奥の隣です。"
「わかった。」
琉はラズから部屋の位置を聞くと、恋を担ぎ上げる。
「あ、らにするのぉ!おろしてくらはい!!」
「酔っ払いは黙ってなさい。まったく、未成年のくせに酒飲みやがって……」
「おさけらんか、ろんれらい!!」
「呂律回ってねえじゃねえか……」
「よっぱらってらいもん……」
「酔っ払いはみんなそう言うの。暴れないでおとなしくして。」
琉は部屋に入ると部屋の鍵をかけた。
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