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〜恋side〜
8月3日
「恋、行くぞ。」
「は、はい!」
零と遥の挙式に訪れた恋はキョロキョロと辺りを見回していて、琉に呼ばれた。
「ったく、あんまウロウロすんなよ?」
明希たちの結婚式で初めてこういった挙式に来た恋だったが、その時は自分にもやることがあり緊張していた。
参列者としていざ来てみると、広い式場や、たまに通る綺麗な花嫁に目を奪われた。
「明希くんたち待ってるよ。」
「はい。」
2人で会場に入ると、すでに翔也と明希は座っていて、紘と千秋はまだなようだった。
「紘さんたちは?」
「千秋くんが怖がるだろうからギリギリに来るって。」
千秋は感覚や紘の認識は戻ったものの、まだ初対面の男性には怯えてしまっていた。
閉所や暗所はもっと苦手で、エレベーターなどにはまだ乗れない。
「明希くんは平気?」
「多分…?」
「無理しないでね?きつかったらすぐ言ってよ?」
「大丈夫ですよ!!」
明希は楽しいという感情が勝ると大丈夫そうである。
「千秋大丈夫かなぁ?」
「んー、本人は外に出たがってるわけだし、慣れれば大丈夫だと思うよ。」
明希の隣に座り、恋は明希と話をする。
「あれ、俳優の木之本翔也と赤津琉でしょ?」
ふと、後ろの2人が話し始めた。
それもそのはず。翔也と琉は変装はしているものの、近くで見ればさすがにわかる。
「ほんとだー!木之本翔也の隣にいるのってあれ?結婚したっていう?」
「そうじゃない?めちゃめちゃ可愛いー!女の子かと思っちゃった。」
「正直どんな子?って思ってたけどあの子なら許せるかもー。」
「赤津琉の隣にいるのは?あれも男だよね…?超美人だけど!」
「男でしょ。彼氏かなぁ?」
女性2人がそんな会話をしているが、本人たちはあまり気にしていない。
「あ、いた。」
「お、紘さん。」
そんな4人のところにこちらも顔が知れた紘。
千秋はぎゅっと紘のスーツを掴んでいる。
紘も黒縁のメガネをかけていて、おそらく顔がバレないようにだろう。
「千秋、ほら。」
「千秋大丈夫?」
「あ…うん。」
恋に声をかけられ、千秋は少し肩の力を抜いた。
琉が席を空け、恋の隣に千秋を座らせる。
「ご来席の皆様、本日はありがとうございます。これより、鈴木家と九十九家の結婚式を執り行わさせていただきます。」
ちょうど司会の声がかかり、零が入場してくる。
零は恋たちの姿を認めると、にこりと笑った。
続いて遥も入場してくる。
遥もやはり、恋たちを見つけると微笑んだ。
式自体は手短に済まされた。
おそらく遥の体調を気遣ってのことだろう。
そして最後のブーケトス。
「あ。」
「あ。」
「あ。」
声をあげたのは明希、千秋、翔也の3人ほぼ同時だったと思う。
「…まじか。」
琉は少し遅れてポツリと呟いた。
「え、え?」
恋の手の中には白いブーケ。
「あ、恋くんがとったー!」
「次はあなた方ですね。」
恋は遥と零にそう言われて顔を真っ赤にした。
その後、披露宴とまではいかないものの、立食パーティーがあり、恋たちもそれに参加することになった。
「千秋、きつかったらやめとく?」
「ううん、大丈夫。鈴木先生にも九十九さんにもお礼言わないとだし…あ、もう両方鈴木さん?」
千秋はそう言って少し笑う。
恋は、千秋が大丈夫そうなのを見てほっとした。
「どうも。」
「鈴木先生。色々とお世話になりました。」
「いえいえ。」
琉の言葉に零は首を振る。
「あれ、こっちに来てていいんですか?」
「大丈夫ですよ。遥はつわりで休んでますけど、大したことないみたいですから。」
翔也は零の言葉を聞いて、それはよかった、と返す。
千秋がそこに少し近寄った。
「あ、の…聖川千秋です。その、以前はお世話になりました。」
「あぁ!話は聞いてたよ。声出るようになったんだってね。よかった。」
「ありがとうございます。」
「ところで赤津さんと恋くんは、いつの間にそんな仲に?」
「え?」
突然話を振られた恋は驚いた。
「空気が甘いよ。ブーケトスの時の反応といい。」
恋はそう言われてせっかくブーケトスの後におさまった顔の熱を再び感じることになった。
「零、何話してるの?」
「遥、もう体は大丈夫か?」
「うん。…恋くん顔真っ赤だけど大丈夫?」
「な、なんでもないです!!」
「結婚の話出したらこうなっちゃったんだよ。」
「あ、赤津さんと仲直りできた?」
「へ?」
恋はなんのことだろう、と思った。
「あの時は、俺すごく嫉妬されてたなぁって思ったからさぁ。」
「…よくわかりましたね。」
「これでも弁護士ですから!見る力はあると思うんです。」
遥はそういって笑った。
「あはは…すいませんでした。」
恋は1人、状況が飲み込めないでいた。
すると明希がくいっと服を引っ張ってきた。
「小雪さんがいた時、遥さんが送ってくれたことあっただろ?その時のことだよ。」
明希に言われて、恋はなんとなく思い出したが、琉が嫉妬するようなことを自分がやったという自覚はなかった。
そのあとしばらく遥と零と話をして、恋たちは会場を出た。
「恋ー。」
「なんですか?」
家に帰り、後ろから琉に抱きつかれる。
「ここ玄関ですよ?」
「わかってるー。」
恋は靴も脱げないまま、琉に抱きしめられている。
「…恋。俺たちも結婚しよう…?本気で、大事にしたいから。」
「………はい。」
恋は小さな声で、本当に消え入りそうな声で答えた。
でも琉には届いたらしく、恋を抱きしめる腕の力が少し強くなった。
「…………ん。」
「ん?」
「りゅ…う…さん…」
耳まで真っ赤にして、俯いて、恋は小さな声でそう言った。
「す、き…です。」
「恋…もう…可愛い。」
初めて名前を呼んだら、恥ずかしいのと同時に、心が温かくなった。
抱きしめてくれている琉の腕に、自分の手を重ねた。
「…婚約発表、していい?」
「…本当にいいんですか…?俺で…」
「恋がいいよ。」
「本当に…?」
「おう。むしろもう恋を手放せって方が無理だわ。」
琉はそう言って柔らかく笑う。
恋は振り返って琉としっかり目を合わせる。
「これから…よ、よろしくお願いします。」
「おう。一生離してやんないぞ。」
そう言って笑う琉はやっぱり柔らかい笑顔で、恋までつられて微笑んだ。
「よし。もう事務所の社長には話してあるし、そうと決まれば明日発表だ!!」
恋はふと、フリーエンジェルの社長は一体どんな人間なのかと思ってしまう。
翔也のことといい、琉のことといい、行動が早すぎるのではないか?
「明日ニュースに出ると思うから、びっくりするなよ。」
琉にそう言って頭を撫でられれば、不思議と全て任せられる気がした。
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調整話になってしまっていろんな話が支離滅裂になっています…読みにくくて申し訳ないですm(._.)m
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