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〜恋side〜
8月13日
「できた…!!」
「素敵ね!」
「千秋うまーい!」
「明希もちゃんとできてるわよ。恋くんも上手ね!」
恋たち3人は明希の実家、上原家で菜々子に華道を習っていた。
花嫁修業としての初めての授業(?)がこれである。
「休憩にしましょうか!」
それぞれ作品を作り上げ、一息つくことにした。
「恋って絶対いいお嫁さんになるよね。」
婚約発表を先日した琉だったが、その反響は大きい。
翔也に続いて琉もとなったために、さらなる注目を浴びている。
恋は、心の奥では、そんな琉にふさわしい相手にならなければ、などと思っていたから、明希の言葉は意外だった。
自分はまだまだだと思っていたからだ。
「俺は琉さんにまだふさわしくないよ。」
素直にそれを口にすれば、明希と千秋が固まった。
「…恋がふさわしくなかったら誰が琉さんの隣に立てるの?」
「え?」
千秋の言葉に恋は目を丸くする。
「そうだよ!恋ほど琉さんに思いを寄せてる人なんて絶対いないし、家事もできるし!」
「そう、なのかなぁ…」
明希にもそう言われ、恋は考え込む。
「恋は自信がなさすぎ。琉さんに愛されてて、琉さんを愛してたら、それよりふさわしいことはないと思う。」
「あらあら、20歳の子たちが話すようなことじゃないわねぇ。」
千秋の言葉を聞き、菜々子はクスクスと笑っている。
「相手を思って、思われて、それでいいのよ。ふさわしいとかどうとかって、愛にはかなわないわよ?身分違いの恋なんて、その代表でしょう?」
菜々子が優しい顔でそう言う。
「…母さんすごい。かっこいい。」
「ふふっ!あなたたちより何年も生きてるんだもの!これくらいは言えるわよー?」
「ありがとうございます。こだわることじゃないってわかりました。」
「いえいえ。これくらいでよければいつでも。」
菜々子はそう言ってにっこり笑った。
「みんなこのあとはどうする?」
「俺、今日泊まっていってもいい…?」
「あら、いいけど、喧嘩でもした?」
「違う違う!今、翔也さんと琉さんがロケで関西行ってるの!」
新しく決まったドラマの撮影で、関西に行っている2人は、帰りは2日後だ。
「そうなのね。恋くんたちはどうする?」
「俺たちは帰ります。」
ちなみに紘は明日まで出張。
つまり今、恋たちは家に帰っても1人なのだ。
「そう。それじゃせっかくだから夕飯くらい食べて行って?」
「いいんですか?」
「いいわよー!このあとは夕飯作りも兼ねて料理にしましょうか!」
その後4人で料理し、菜々子が利希を迎えに行き、帰ってきたところで夕食になった。
明利も帰宅し、賑やかな夕食の後、明利が恋と千秋を家まで送ってくれた。
「それじゃ、またね。」
「うん。また。」
家の前で2人も別れる。
恋は家に入るとすぐに入浴の準備を始める。
シンと静まり返った家の中が、なんとも寂しかった。
琉に出会うまではそんなことを感じたこともなかったが、今となっては琉のいない家は寂しくて仕方がない。
恋は自分が思ったより寂しがりなことを、ここ最近自覚していた。
(…だからウサギ?)
ふと、琉がくれたぬいぐるみのことを思い出し、そんなことを考えてしまう。
「いやいや、俺がうさ耳つけてたからその印象って言ってたし。うん。」
1人そう呟き、恋は納得した。
入浴して、1人では広いベットに潜り込み、ウサギを手繰り寄せて抱きしめる。
「琉さん…」
そう呟けば、どうした、恋?と返ってくる気さえする。
「…琉さん不足かよ。」
恋は自分で自分を笑ってしまった。
思っていたより疲れていたのか、恋はすぐに眠りについた。
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