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〜琉side〜
16時
「やー、思ったより早く終わったね。」
仕事を終えた翔也がぐっと伸びをしながらそう言う。
「紘さんもう家にいるってさ。もう自分の着付け終わったって。」
琉はスマホを見て翔也にそう言った。
「お、まじ?じゃあ17時過ぎには着けるかもな。」
琉たちは着替えて紘の車で神社に向かう予定だった。
「早く行かねえと心配だ。」
「あの子たち妙に絡まれる体質してるよね。」
「それなのに最初3人で行くとか言い出すしさ…危ねえからダメだっつの。」
6人で行けないなら3人でも行こうなどと話していたが、正直3人で行かせるくらいなら無理にでも仕事の都合をつけたいと思うくらいに、琉たちは恋たちが心配である。
「自分たちの魅力に気づいてないよねぇ。あの子たちは。」
「…なんかほんと心配になってきた。」
紘の家のインターフォンを鳴らし、琉はつぶやく。
「んー、まあ、早めに行けば大丈夫じゃね?」
「お、いらっしゃい。」
「ふおぉぉ!紘さんイケメン!」
出てきた紘を見て翔也がそう言う。
「和服似合いますね。」
「ほらほら、2人も着付けするんだから早く入って。」
紘に呼ばれて琉と翔也は中に入る。
紘は慣れた手つきで翔也を着付け、琉も着付ける。
「なんか食べたいものあります?明希ちゃんたちに頼んどきますけど。」
「俺は焼きそば食べられればそれで。」
「ジャガバターとか食べます?」
「あ、いいね。」
「適当に好きなもの買っておけって言っとけよ。」
「ん、そうするー。」
3人で家を出て、紘の車に乗る。
少し遠めの駐車場に車を止め、神社の方に向かう。
待ち合わせの時間まではまだ1時間弱はある。
おそらく恋たちはまだ屋台通りにいるだろうと思い、琉が恋に電話をかけてみるが出ない。
「電話でないんだけど。」
「屋台通りは一本道だし、歩いてれば会えるんじゃないか?」
「そういえば明希ちゃんがさっき、クレープ食べるって写真送ってきたけど。」
「さっきっていつ?」
「10分前くらい。」
「じゃあまだその辺にいるかもな。あっち行ってみよう。」
クレープの屋台が出ている方に向かって歩く。
身長が高い琉は頭一つ抜けているためか、少し遠くまで見渡せる。
「…まじかよ。」
そしてその目に入ってきた光景に思わずそう呟いた。
「え、なにが見えた?」
翔也にはまだ状況が掴めず、琉にそう聞く。
「…強引だなぁ。」
紘は状況がわかったらしくそう言った。
「嫌がってんのが見えてないんでしょうね。」
「なに、なんなの?!」
「恋たちがナンパされてる。」
人の波にのまれて早く進めない3人は、あくまで冷静にそちらへ向かう。
「…まじか。」
事情を把握した翔也が纏うオーラを変えた。
「…恋大丈夫?あれ絶対怖がってると思うけど。」
紘が恋を見てそう言った。
「ったく…あいつ明希くんとか千秋くんと一緒にいるとすぐ強がるから…」
「恋ってそういうとこあるよな。」
「はぁ…さて、一発ぶちかますわけにもいかないし、どうしますかね。」
琉は無性にイライラしながらそう言う。
「…いいこと思いついちゃった!」
翔也は悪戯っ子のような笑みを浮かべる。
「…なに?」
「無茶はやめろよ。」
「渾身の一発ならぬ渾身の一言でおさめればいいんじゃない?」
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